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「チャンミン、座ってみてくれる?」

今リビングは、ユノによって若干の模様替えがなされていた。
ソファーの前にあったテーブルは隅に追いやられ、代わりに大きめの姿見と三脚に固定されたデジタルカメラが置かれている。

「この辺でいいですか?」

ソファーの中央よりちょっと左側に腰掛けると、ユノはライブビューの画面を見ながら「うん」と頷いた。
すぐにピピっという電子音が鳴る。
もう動画撮影はスタートしているようだ。

「じゃぁ、これからやってみようか」

ユノは僕の隣に腰掛けると、手に持っていた一枚の紙を目の前に掲げる。
今日事務所でもらってきたばかりの絵コンテだ。

「………はい」

僕は目線を下に落とした。
膝同士がぶつかる距離にあるのはユノの脚。
いつもより短めのハーフパンツからは、贅肉のついてない、しなやかな腿が露わになっている。


僕は中指と人差し指を立ててピースの形を作った。
それを逆さまにしてユノの腿の上に置くと、


とてとてとて…


歩かせてみた。












ゆのみん企画/第51回 指でなぞる 01.】












なんでこんなことをしているのかというと、遡ること数時間前。



     というコンセプトでミュージックビデオを撮影しますので、
 よろしくお願いします。それで今回は、  

しゃべり続けるスタッフとは反対に、僕といえば配られた絵コンテを見て言葉を失っていた。
何にって、ユノと女性モデルが絡むシーン…これの多さにだ。
もちろん、仕事中にまで“このヒトはボクノモノ”だなんて主張するつもりはないけれど…

当の本人はどう思っているのかと横目で盗み見れば、
「恥ずかしいですね」なんて両手で頬を押さえながら言っていた。

スイッチ入ったら、さらっとやってしまうくせに。



    でしょう?…チャンミンさん?」

名前を呼ばれてトリップしていた思考が戻ってくる。
慌てて「なんでしたっけ?」と聞き返した。

「今回は女性に囲まれて撮影するシーンが多いから楽しみでしょう?」

スタッフにそんなことを言われて、絵コンテに目を戻す。
ユノのシーンばかり見ていたけれど、自分のシーンもユノに引けを取らず女性モデルとの絡みがたくさんあった。

「いいですねぇ。10年間の活動の中で一番楽しい撮影になると……」

ペラペラとめくっていたら、ひとつのコマに引っかかりを感じて
ページを戻す。


えっと…これは…女性の足?
指は…まさか僕の指?


そこから引っ張られた線の先に“リズムに合わせて腿の上を指でなぞる”と書かれていた。
……一体どんなシチュエーションで、こんな思わせぶりでいやらしいことをするんだ…?
嬉々として女性の腿を指でなぞる自分を想像してはみたけれど、赤ちゃんの脚で指散歩する姿しか浮かんでこなかった。

引きつりそうな笑顔をなんとか保ちながら「…思います」と締めくくった僕の隣で
ユノは今にも吹き出しそうな顔をしていた。














「チャンミン…」

呆れたような、残念そうな、そんな声にはっとして顔を上げる。
困ったように眉を下げたユノが僕を見ていた。


「…あのさ、お前が演じんのはどんな男?」


そう聞かれて、腿の上に置きっぱなしの指とユノの顔を交互に見比べながらコンセプトを思い出す。

「ナルシストでセクシー。ユーモラスな表情も垣間見せる可愛い男です」
「分かってんじゃん。で、その仕草で何がしたいの?」
「………誘惑です」
「だろ?今のじゃ、なんてゆうか…余裕がないってゆうか、可愛いけど色気もないんだよなぁ」
「でも、女性を誘惑するなんて…」

経験ないですし。
胸の中だけでこっそり呟いた。


ユノもそうだと思うけれど、誘惑されることはあってもする事なんてなかった。
もちろん女性が嫌いなわけではない。むしろ大好きだ。
それでも熱心になれないのは、背負っているものの大きさを理解しているからか。
無意識のうちにユノと比較しているからなのか。

こんなことで悩むのなら、もっと経験を積んでおけばよかった。
どうしようもないことで少し後悔していると、慰めるようにぽんぽんと頭に手を置かれた。


「…まぁ、正直安心したけどな」
「安心?」
「こっちの話。とりあえず俺がやって見せるから」
「えっ、ヒョンが」

実演?
指でなぞる、を?


女性を誘惑するユノの確信的犯行を見てみたいような見てみたくないような…
そんな複雑な心境だったのに
もう既に、さっきまでの兄さん然りとしたユノはいなかった。

僕の目の前にいるのは、今まで見てきた誰よりも自信に満ち溢れた印象を与える男。
何かを企んでいそうな瞳は、おもちゃを品定めするみたいにじっくり僕を眺めている。



なんだろう。なんでだろう。
ユノの視線に晒されると恥ずかしくなってしまうのは。



居心地の悪さにもぞもぞしていたら、僕の肩に腕が回ってきて
ユノから遠い方のほっぺをツンツンとつつかれた。



「チャンミン……鏡、見ろよ」



笑いを含んだ声に促されてその存在を思い出す。
ユノの実演は僕に見せるためなのだ。恥ずかしがっている場合ではない。

そう思って目を向けると、
鏡の中には作りかけの彫刻みたいな僕と、既に完成されたユノがいた。
僕の肩から垂れている手から指先までのラインとか、足を組んだときの見え方とか、積極さの程度を示す体の向きとか、
全てが完璧なディテールを保っている。
鏡の方を向いていないユノには、どう映っているかなんて分からないはずなのに…



それにしても、“視認”って恐ろしい…。
さっきまで意識していなかったのに、体にかかるユノの重みとか、体温とか、感触とか
感覚のベクトルがすべてもっていかれる。

そして僕の視線を釘付けにしているのが、今にも首筋に触れそうな唇だった。


……でも、触れない。


息遣いだけが、敏感になった肌を撫でる。
ドクドクと恐ろしい程に早くなる鼓動。
大きくなっていく心音。



聞こえているのだろうか。片方の口角を持ち上げて薄っすらと笑んだユノの目線が
生身の僕から鏡の中の僕へとゆっくり移動してきて、瞳の中に僕を捉えた。





少しだけ首を傾けるユノ。

“欲しい?”と聞かれているような気がして

何だか渇きを覚えた。





欲しい。
…でも、何を?
僕は何が欲しいの?

混沌としてくる頭。
コクコクと首を縦に振っていた。





すると、片手が腿の上に置かれる。
そこからじんわりと体温が伝わってきた。

でもそれは、体に浸透する前に離れていく。

ゆっくり、ゆっくり。

最後に残ったのは、指先だけ。
ピアニストが鍵盤を叩くときのような優雅さと、明らかな目的を持って




僕の体の        中心に向かって歩き始めた。




ぞわりと鳥肌が立つ。
今すぐにでもその指を握って止めてしまいたい…!


そんな衝動に駆られているというのに、頭ではない体の一部が、これから起こる次の段階を期待していて…
思わず僕は、膝をすり合わせてしまいそうになった。












続く



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プロフィール

YUKA

Author:YUKA
ある日突然、ユノに恋をしました。
気付けば、チャンミンに構って欲しいユノと、ユノの側にいてくれるチャンミンの図に、萌えまくっていました。腐り具合は、きっとこれから進行してゆくのでしょう。

東方神起ありがとう!

「東方神起 RISE AS GOD」
「東方神起 LIVE TOUR 2015 WITH」




素敵な画像をお借りしました。
ありがとうございます。
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