顔が見たい。 話がしたい。 一緒にいたい。
誰よりも高貴で清廉なあなたが、誇らしい。

だけど。 同時に悔しくて、悔しくて、仕方がないんだ。 どうしようもなかったんだ。









wasu.png 【忘れないで。/08.】












「チャンミン、重いんだけど?」
「うん、ごめんね、ヒョン。」
「そっち側すげー活用されてねぇけど」
「必要ありませんから」
「なんでだ」
「気持ちの偏りってやつです」
「バランスとれよ」
「そんなこと言わずに、頑張ってる僕に協力してください」
「これが協力になんのか」
「それはもう。 ものスゴイ勢いで」
「…あっそ」


広めの車内。
ワゴンの1番後ろにユノ。
隣に僕。


当たり前のように肩が触れる距離で座ったら
ユノには奇妙な目で、マネージャーからは微笑ましい目で見られた。

……チャンミンが1年間、どう過ごしてきたのか垣間見えた気がする。


だけど、高校生のチャンミンとは違って
図々しさとか空気だって無視できるんだ。


そんなオトナの僕は、ユノの肩に頭を乗っけて、もたれてた。
手には日記。
ふわゆのを感じながら、映画に関する部分だけ頭に詰め込んでる最中だ。



「ねー、ヒョン、お腹空きません?」
「フツー」
「じゃあ食べましょう?」
「ダイエット中だから」
「ならヘルシーなのにします」
「お前さ、」
「はい?」
「ずっと喋ってるけど、頭に入ってんの?」
「キレキレですよ」
「そーか」
「ユノヒョンは僕がいると邪魔ですか」
「邪魔。」
「えっ」
「…って言われないこと想定して聞いてんだろ」
「バレました?」
「……邪魔してんのは俺の方じゃね?」


思わずユノを仰ぎ見てしまう。
窓際に肘をついて外を眺めてた。
つん、と尖った鼻。


「…邪魔です。」


そう言ったらユノの視線がゆっくり僕に向く。


「…って言われること、想定して聞いてるんですか?」


目の動きをじっと見ていた。
少し上から僕を見下ろす黒目。 揺らぎもしない。


「はぁ…………。 ヒョン、子供に逆戻りですねぇ」
「何だそれ」
「大人になって出来るようになった事が出来なくなってるから」
「……そんなわけねーよ」


ぷいとまた窓を向かれてしまう。
そっぽくらいで引けるほど、ユノユノが余ってるわけじゃない。


「ねーねー、ヒョン」
「なんだよ」


ぷいしてても聞こえないふりとかしないユノが可愛いと思う。


機嫌が悪いわけでも嫌われてるわけでもなく、ただ1年の間に、
僕にとっては遥か遠く、
チャンミンには精いっぱい近いこの距離感が、
普通になってしまったのだろう。



「前の席からは、ここ、見えないですね」
「だから?」


日記を座席に置くと体をユノにむける。
手を伸ばして、太陽がキラキラ照らす輪郭に、指先で触れてみた。
ユノはびっくりしたみたいにこっちを向く。


「手間が省けました」
「手間?」
「こっち向いてくださいって」
「……。」
「ヒョン?」
「…お前さ、」
「なんですか」
「……態度変わりすぎだから。 慣れない」


ユノは僕の指を掴んで、躊躇いがちにポイした。
でもポイされた手をまた伸ばして、今度は掌で頬を包む。
そしたら戸惑ったような視線が、手と僕を行き来した。


「態度はそうかもしれないけど、僕の気持ちは変わってないでしょ?」
「、それは……」



黒い目が伏せられる。

高校生のチャンミンはユノが好きだったからこそ、仕事に没頭したんだと思う。
態度がどうであれ、ひたむきな想いと頑張りに、ユノが気付かないわけない。

ただ、チャンミンが引いたボーダーが、必然的にユノを遠ざける結果になった。

それでも、僕の想いをわすれないでいて欲しいなんて、我儘かもしれない。
けど、





「……僕がヒョンのこと好きだって、覚えてる?」





瞼がゆっくり上がった。
綺麗の中に不機嫌な色。




「そーゆうお前は、……俺を好きなこと、忘れてねーのかよ」

そんなの、

「忘れるわけありません」




ユノのおっきな黒目がギュッてなる。
僕は親指で目元を撫でて、言葉を継いだ。



「…て言われること、想定してなかったんですか?」

「………だって、…俺ら、もうそうゆう関係じゃねーし」

「え…」


……今、なんてった?


「俺、恋人いるし」

「はっ?!」


コイビトって、
……公平明大なユノに特別扱いしてもらえる限られた人類の頂点に君臨する、
アレですか。

いやそんなまさか。
視界がぐにゃりと歪んだから目を閉じる。


…たしかに、1年もの間、チャンミンがユノに群がる虫どもを牽制していたかといえば…
放置に近かったと推測せざるを得ない。



それでも、自信があった。
揺らぐことのない自信。
僕以上にユノを理解しているヤツはいない。
僕以上にユノを幸せにできるヤツもいない。
プライベートでも仕事でも。
過去でも未来でも。
今のこの瞬間でだって。





ガッと両手でユノの肩を掴んだ。


「ヒョン、安心してください。それは気の迷いです。」

「…は? いや、」

「今すぐ別れてください。 ヒョンを1番好きなのは確実に僕ですから」

「マジになんなって」

「真面目に言ってます。 ヒョンは愛するより愛される方が断然似合います。
愛されたい生き物より、僕の方が100%ヒョンを幸せにできますから」

「違うんだって」

「違いません。てゆうかそれを分かってるのに、幸せになってくださいって手放すなんてあると思います?
絶対にない。 あ・り・え・な・い。」

「いないから」

「そうですよ、いません。 あなたには僕しかいないんですよ。 僕だけに全力で甘えてくれたらいいんです」

「ああ、お前だけだ」

「…その通りです」


肩に置いていた手をスルリと腕のほうに滑らせて、
腰から背中にぐるっと回し
首筋に擦り寄る。


そしたら、


つんつんと髪を引っ張られた。
でもって、呆れたみたいな声が降ってくる。


「安心した?」
「なんのはなし」
「バレてないとでも?」
「……」
「俺が彼女作るわけないって分かってたくせに」


そ、分かってた。
だけど状況が普通じゃない。
ユノの態度もどこかよそよそしかったし。
心の隅っこに、『もしかして』が居たことは否定できない。

僕はたしかにオトナだけど、
もしかしてを抱えたままじゃ、チャンミンと同じ間違いを犯してしまうだろう。
だからちゃんと言葉で伝えて、言葉で聞いておきたかった。
一年越しなんだから。



「…まったく。 子どもなのはどっちだよ」



ぽんぽんと背中を撫でてくれる。



「いいえ、僕は大人だから、両方使い分けられるんです」

「じゃぁ、俺も大人なところを見せてやろうかな」

「たとえば?」


抱きしめた腕はそのままに顔だけ上げた。
すぐそこに、シャープでカッコイイ男の顔。
でもって、甘い。





「覚えてる」



くるっとしたアーモンドアイが柔らかく形を変えた。



「”大”がつくほど好きだって、ちゃんと覚えてるから」



まだ答えてなかったし、ってちょっと照れたみたいにはにかむ。
なんか愛しすぎて、死にそうで、ぐりぐり額を押し付けた。



「大の上なんです。 超ミラクルスーパー大好きなんです」
「なんだそれ」
「復唱してください。超ミラクルスーパー最強大好きです」
「ちょーみらくるすうぱあさいきょう…あれ、なんか増えてね?」
「気のせいですね。はい、もいっかい。超ミラクルスーパー史上最強大好きです」
「やっぱ、増えてんじゃん!!」





ユノが笑った。
僕の襟足あたりを撫でながら。

ケタケタ。ケタケタ。

好きなんだ、
笑い声も。
くしゃってなる目元も。
触れる手も。

こんなにも限度がない。




「わすれちゃだめですよ」



僕があなたを好きなこと、
絶対に、わすれないで。

至近距離にあるおっきな黒い目がぱちぱちと瞬く。




「どうやって忘れるんだ?」




それはもう不思議そうに、ユノはそう言った。












続く..

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ユノさん、好きです。
チャンミンが世界で一番ユノさんを好きだと思うけど、私だって好きなんです!! ←

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コメント

YUKAさん-!いつの間にやら嬉しい更新~!!
ありがとうございます。

しかも、チャンミン戻ってきたんですねー!!

あ~萌え萌え過ぎる-!たまりません-!

デレチャンミンは最強ですねー!
「ユノユノが余ってるわけじゃない」チャンミンの方が
今回の二人のおしゃれな会話はリードしているようでムフフでした(*´σー`)ー!

しかし、ユノユノが余っているわけじゃないとかー!
ふわゆのーとか、
ヒョンは愛するより愛される方が断然似合います、とかー。

ここたまりませんO(≧∇≦)O。


ユノヒョンー1年間も色々寂しい想いをしていたんでしょうか(>_<)
でも、高校生チャンミンも「他の誰かに向けるユノの笑顔を眺めて」精一杯だったんですねー(>_<)
確かに一般人がユノにいきなり遭遇したら、そうなりますよねー恐れ多いといいますか。


あ~「ふわゆの」~(>_<)を妄想ーたまらなーいヾ(´ε`*)ゝ

あ、ハリポタのあっちのユノチャミも大変な事になっているんでしょうかねー。気になりますー。

バビコ | 2016.12.15(Thu) 19:44:31 | URL | EDIT

ありがとうございます。

>バビコさん

いつも読みに来てくださって、しかもステキコメンツも超ありがとうございます!!楽しく嬉しく読ませていただいてますv
チャンミンさん、戻ってきましたー。おかえりチャンミン、よかったねユノさん、ですよねぇ。
向こうは、こっちで鍛えに鍛えられたチャンミンがいるので大丈夫だと思います!!(笑)
ゆのさんは愛されるのが断然似合う!!共感いただいてありがとうございますw ですよねー、愛されて愛されて
愛を注がれて、それが普通すぎるから他人の愛は華麗にスルーし、チャンミンの愛だけ感じてればいいと思いますw
つまりチャンミンのユノ愛が最強最高でございます。YES!!

YUKA | 2016.12.23(Fri) 23:45:42 | URL | EDIT

ありがとうございます。

>nemomo さん
コメントありがとうございます~!おひさしぶりです♪ 変わらず遊びに来てくださっていたのですね!!
ミラクルありがとうございますv
チャンミン戻れてよかったですねぇ。やっぱりこっちのユノさんが恋しかった模様です。
連載がんばりますわ★

YUKA | 2016.12.23(Fri) 23:49:47 | URL | EDIT
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プロフィール

YUKA

Author:YUKA
ある日突然、ユノに恋をしました。
気付けば、チャンミンに構って欲しいユノと、ユノの側にいてくれるチャンミンの図に、萌えまくっていました。腐り具合は、きっとこれから進行してゆくのでしょう。

東方神起ありがとう!

「東方神起 RISE AS GOD」
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素敵な画像をお借りしました。
ありがとうございます。