ずっとずっと憧れていた。


初めて貴方の存在を知ったとき、世の中にこんなにも格好いい男性がいるのかと、釘付けになった。
初めてライブに行ったとき、こんなにもファンのために歌ってくれる人がいるのかと、泣きそうになった。
初めて後ろ姿を見かけたとき、ファンの一人として感謝を叫びたくてたまらなかった。
初めて数十センチの距離に立ったとき、これは自分に都合の良いただの夢ではないかと疑った。

初めて貴方の素顔を垣間見たとき、自分は恋に落ちたのだと悟った。



俺は今、ユノ先輩の隣で踊っている。










     【僕らの、/04-2. ミンジュンside】











つい先日、ユノ先輩と会ってから、俺はスタジオに通い詰めている。
もしかしたら、また会えるのではないかという期待からだ。
デビュー前でスケジュールは詰まっているけど、そこは1%の努力と99%の効率。

うんうん。
俺は顔もいいが、要領もいい。
ナルシストと呼ばれようが、事実が伴っているのだから問題ない。

問題なのは、運がやってこないことだ。


あれから一週間がたとうとしている。
まだユノ先輩に会う機会はやってこない。


まぁ、悪いことばかりでもないのだけれど。
毎日通っていると、ユノ先輩の情報が集まるからだ。

1.ユノ先輩は苺が好き。俺の好物も苺になった。
2.ユノ先輩は頑張っている後輩が好き。毎日スタジオに通っている俺。うん、頑張っている。
3.ユノ先輩は博愛主義者。それはちょっと困る。愛は俺だけにくれればいい。
4.ユノ先輩は空気が読めない天然さん。俺も読めないから大丈夫。
5.ユノ先輩は男の中の男。たしかに格好いい。それについては、俺の方が!とはさすがに言えない。
6.ユノ先輩は天使だ。うーん、分かる気がする。あの笑顔には癒し効果がある。
7.ユノ先輩はチャンミンさんを溺愛している。さっき、博愛主義者って情報流したの誰だよ。

こんな具合に。
実際にユノ先輩を知っている人たちから聞いたのだから、間違ってはいないだろう。


あー、会いたい。
情報だけでなく、いや、情報も欲しいけど、本物に会いたい。
どうしたら会えるのだろう。

俺は今日も、もはや定位置となった共有スペースでオレンジジュースを飲むのだった。
本当はブラックコーヒーを格好良く飲みたいのだが…




そのとき、廊下の奥がざわついていることに気付いた。
そしてその理由はすぐにわかった。

シャツにカーデガンを羽織り、半ズボンという姿。
特に着飾っているわけではないのに、顔が小さくて手足が長いもんだから無駄に格好良い。
ユノ先輩がこちらに歩いてくる。

俺は、慌てて立ち上がった。



遠くからだけど、ユノ先輩と目が合う。
ユノ先輩は軽く手を挙げた。

俺の方を見ている。
まさか、俺に向かって?

慌てて頭を下げた。



「ミンジュン、だったよな?」


まじか!!

ユノ先輩からまた声をかけてもらってしまった。
しかも名前まで覚えててくれていたなんて。

「社長から話は聞いたよ。毎日スタジオで練習してるんだって?」

社長ーっ!
ありがとう!!!

「ちょっと見てやってくれって言われたんだけど、俺も参加させてもらっていいかな」

もーっ、社長ーーっ!!
俺のやる気をユノ先輩で釣る気ですかーっ!
ナイスアイディア!!




そーゆうわけで、今、ユノ先輩と二人っきりで、スタジオにいるわけである。








ユノ先輩がまずしたのは、ダンスの模範演技映像を見ることだった。

真剣な瞳。
映像に合わせて微かに手足が動いている。
まさか、今、覚えているわけではないよな?

もはや聞き飽きるくらい聞いた曲が終わった。
ユノ先輩がこっちを向く。
無意識に緊張してしまう俺。

「やってみよっか」

何を?

「…ミンジュン?」

怪訝そうな顔。
しまった。心の中で呟いていてもユノ先輩には聞こえないんだった。
つまり俺は、まだ一言も言葉を発していないということになる。

慌てて口を開いた。

「す、すみません。あの、やるって、まさかダンスですか?」

声がうわずってしまう。
俺の極度の緊張具合を悟ったのか、ちょっと可笑しそうに笑った。
…可愛い。
って、いかんいかん。
緩みそうになる頬をダメだよとたしなめる。

「うん。俺が女性ダンサーの動きをやるから、ミンジュンはいつも通りに」

映像を一回見ただけで動きを全部頭に入れたというのだろうか。
半信半疑のまま、頷く。

それに、女性との絡みが多いダンスだ。
あれをユノ先輩とやるのだろうか。



俺の困惑と動揺をよそに、ユノ先輩のダンスレッスンは始まった。









     それからは、まるで夢と喪失の時間。


映像でしか見たことなかったユノ先輩のダンスは、鳥肌が立つほど美しかった。
男性的要素が感じられない、洗練された動き。
しかも模範映像を忠実に…いや、それ以上に再現している。
カリスマ。そう表現する以外に手段を持たなかった。

それに比べて、自分の未熟なこと…。
ユノ先輩に相手をしてもらうにはお粗末すぎた。
嫌と言うほど思い知らされる。

社長はの狙いはこれだったのだろう。


ビジュアルだけでなく、歌、そしてダンスにも自信を持っていた。
けれど、思い上がりだった。


恥ずかしくないパフォーマンスをしたい。


いつの間にか頭の中は空っぽで、本気で踊っていた。













「ありがとうございます」

音楽が止まってから、最初に口をついて出た言葉は感謝の気持ちだった。

「どういたしまして」

まるで俺の言葉を予想していたかのような返事。
しかも肩で息をしている俺に対して、息すら乱していないユノ先輩は、ニヤリと笑った。


 
その笑みを見た瞬間悟った。

     そうか、社長とグルだったのか。



俺にやる気を出させるために、このピュアハートを含め、いろいろ利用されたようだ…
まんまとノせられたことが可笑しくて、声を上げて笑ってしまった。


「うん、ごめんな?」


俺の心の中の呟きを読んでいるかのような肯定と謝罪の言葉。
しかも全然悪いと思っていないような声音と、笑顔で。


なるほど。
自分が他人に与える影響を理解した上で魅力を活用する。
それにより、相手がどう動くかも予測済み、ってやつか。

…いや、若干違うな。
それを自然とやってのけてしまうのが、ユノ先輩なのだろう。




情報に付け加えておく。

8.ユノ先輩はたまに読心術を駆使したブラック天使に変身する。体験済み。







その時携帯が鳴った。

「あ、チャンミンだ!」

変わるの早っ!
てか、着信音は特別設定なわけね。

ユノ先輩はブラック天使から普通の天使に戻っていた。


なるほど。
これも情報を修正しなくてはならない。


7.ユノ先輩はチャンミンさんを溺愛している。博愛主義対象外。体験済み。


つまり、俺の恋を成就させるには、チャンミンさんを超えなければならないということだ。
俄然やる気がわいてきた。


そこで、はた、と思う。
これも社長とユノ先輩の策略だろうか…

…いや、これはただの天然だろう。




なんだか力が抜けて、床に座り込む。
ユノ先輩が電話口を押さえて大丈夫かと問う。
急にへたり込んで驚かせてしまったのだろう。
大丈夫だと手を振り、天井を見上げて目を閉じた。



これからも俺は、ユノ先輩をネタに釣られ続けるのだろう。
そんな気がした。












「…ミンジュン!」

いつの間にか電話を終えたユノ先輩が俺を呼んでいた。

「聞いてなかったろ?」

……その通りです。
すみません。

「これからチャンミンが来るらしいから、それまで、やっとくか?」

願ってもない申し出だ。

「はい!お願いします!」

前のめりな体勢で頷く。
ユノ先輩はくりくりの黒目で俺をしばらく眺めたあと、吹き出した。
なぜ笑われるのかわからない。


「お前って、見た目カッコイイくせして……外見と中身、一致しないにもほどがあるだろ」


そこか。
ほんの数時間の付き合いだが、色々つつ抜けているようだ。恐るべし。

「それは褒められていると、思っておきます」

また、ユノ先輩が笑った。









続く


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ニューキャラクター、ミンジュン氏。
勝手自由に動いています。
彼は熱狂的ユノ信者なので、ユノの幸せを第一に考えてくれることでしょう。

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プロフィール

YUKA

Author:YUKA
ある日突然、ユノに恋をしました。
気付けば、チャンミンに構って欲しいユノと、ユノの側にいてくれるチャンミンの図に、萌えまくっていました。腐り具合は、きっとこれから進行してゆくのでしょう。

東方神起ありがとう!

「東方神起 RISE AS GOD」
「東方神起 LIVE TOUR 2015 WITH」




素敵な画像をお借りしました。
ありがとうございます。