【 恋する星 /06.】







「ほんとにいた…」


1番奥の隅っこ。
黒いパーカーに青いジーンズ。
ソファー席で長い足を優雅に組んで座っていた。
リズムを取るように肘掛に置かれた指が動いてる。
ざわめきも視線も、何ひとつ気にしてる様子もなく、
店内でも外でもなく、ましてや誰かでもなく、別のところを見てた。







一週間前の朝。
抱きしめなて眠ったはずなのに、目が覚めたらスターはいなくて。
だけど、冷たくなったシーツの上には手帳を破ったみたいな紙が置いてあってた。

『チャンミン
仕事だから先出るな。来週、朝飯食べよう。何が何でも来い。
ユノ』

メモには店の名前だけで連絡先とか書かれてなかったから、確認のとりようもなくて。
だから…本当にこのカフェにスターが来るのか半信半疑だったんだけど、
すぐそこにスターがいて…

なんだか胸が熱くなる。







急ぎ足でテーブルに近づいた。


「お待たせしちゃいましたか?」


スターの目が僕に向く。
直後、まん丸な目がさらに丸くなったかと思えば、
ぽかんと口を開けて固まってしまった。


まさか…これって、
何故此処にコイツが現れたんだ状態?


「あの、…」


熱かった胸がまたたくまに冷たくなる。
なんて言っていいか分からなくて言葉が続かなかったけど、
そもそもイヤフォンをしたままのスターに聞こえるはずもなく。


お互い、まさに 『……』 これ。


でもギィコって鈍さで動き出したかと思ったら、スターはイヤフォンを外しつつ、
目の前に立った僕を、頭のてっぺんから足先まで眺めはじめる。
たっぷり。それはもうたっぷりと。
そして顔に戻ってきたときには、凄い勢いで瞳のキラキラが割り増してた。




「俺のチャンミン、…カッコよすぎるよな?」

何故にそれを僕に問いかける。

「はぁ……ありがとうございます」

スーツの胸元あたりを手持ち無沙汰に撫でてしまった。



一週間ぶりの第一声。
CDでも動画でもなく、生声だよ?
僕は毎日どこかでスターを見てたけど、スターは僕を見てないわけで。
久しぶり、とか、元気だった、とかじゃないんだ。
しゅわしゅわ。しゅわしゅわ。気が抜けてしまう。

スターはやっぱりスターだった。









「座んないの?」
「あ、そうですね」
「コーヒーでよかった?」

僕の分らしい。
テーブルの真ん中あたりにあったカップやらサンドウィッチなどが、ずさーって寄せられる。

「ありがとうございます。いただきます」
「なーなーチャンミン」
「はい」

両腕をテーブルに乗せて前のめり気味なスター。

「社長って何の会社やってんの?」
「やっと興味がわきましたか」
「だって、聞いても分かんなかったら失礼になりそうだし」
「じゃあなんで聞きたくなったんですか」
「そんなモデルみたいなスーツ着て仕事する職業、そりゃあ気になるだろ?」



スターはうんしょと袖の中に手をスッポリ隠して腕を組んだ。
いわゆる萌え袖。

サイズの合っていない服を着ることの何がいいかわからないし、あざといとゆうかなんとゆうか。
僕は体に合った服を着こなしてる人の方が好きだ。

な〜んて思ってたけど、全面的に間違ってました。
スターの萌え袖は…ちっちゃい子みたいな可愛さが75°くらいの角度でギュンと登ってくる。

自分の顔がどーなってるかなんて想像したくもない。
エヘンと咳払いをした。







「名刺渡しときましょうか」
「もらっていいの?」

カバンからケースを取り出す。
スターは指先だけをニョキと出して、両手で恭しく受け取った。


「……えっ!?」


片手で口元を押さえるスター。


「ご存知でしたか」
「当たり前じゃん! 最近、スタイリストさんから名前よく聞く。 スーツのブランドの」


だけど、スターが仕事で着たことはないはずだ。
タイアップもしてなければ、メディア露出情報も入ってない。


「反応に困るような知名度じゃなくて安心しました」
「俺も」

えへへ、と笑って更に僕の方に身を乗り出す。

「今度、見立ててもらいに行っていい?」
「ありがとうございます。でも……」
「ん?」
「………あなたに着てもらうのはしばらく先でもいいですか」
「なんで? 俺に着て欲しくない?」


トスンと背もたれに体を預けて
しょんぼりしてますって顔で言うから、慌てて言葉を継ぐ。


「違いますよ! ただ…」





この人の空になると決めてから、
僕には考え続けてきたことがある。


それは、
       新しいレーベルを掲げ、この人にブランドモデルをお願いすること。

それがこの人を飾る、初めてにしたい。






「ただ、なんだよ」
「……そのうちプレゼントしますから、待っててください」
「まじー! なら待ってる」
「その代わり、それまでうちのスーツは着ちゃだめですよ」
「なんでだよ」
「なんでも」
「なんでもってなんだよ」
「ネクタイもつけますから」
「物じゃ釣られないし」
「靴もです」
「だーかーらー」
「時計も選びます」
「…お前が選ぶの?」
「はい、シャツもです」
「……全身、チャンミンコーデ?」
「そーゆうことです。 約束してくれますか」

スターはにこーっと笑って袖を重ねた上に顎を乗せた。
うんうん首を縦にふる。

「約束する」
「ありがとうございます」
「俺もお礼しなきゃだな。 何欲しい?」
「そうですね…欲しいものはたくさんありますけど」
「たくさんあるの? 意外だな…」
「僕は案外欲張りですよ」
「ふぅん? 欲張ってもいいけど、俺にできることにしとけよ」
「…3つお願いしてもいいですか?」
「3つ?」
「ダメですか?」
「……いやいーけど。 なに?」
「その時になったら言うことにします」
「えー、気になるだろ。 今言えよ」
「じゃあ…」
「じゃあ?」
「今日から叶えてくれるなら、1個だけ言います」
「…内容聞いてから決めていい?」
「なら、胸の内にしまっときます」
「……… わーかった!!  いーよ、叶えてやるから。 …で、何?」
「毎日」
「毎日?」
「一枚」
「一枚?」
「セルカを送ってください」
「セルカー?」


スターはポケットから携帯を取り出して僕に後頭部を向けた。
頭上斜め上に向けたカメラにピースする。
ほっぺにムニュとくっつけて。

カシャ。

ピポポコ。カチコチ。ピロリン。


「今日の約束完了。 だろ?」


携帯のCMか。
コツンと頭にぶつけて得意気に笑うもんだから…


ガタンと音を立てて立ち上がった。

「…チャンミン?」
「詰めてください」
「お、おう」

スターを壁際に押しやり隣に座る。
それから首にかけられていたイヤフォンを取ると、
スターの目の前に身を乗り出し、片方をスターの耳へ。片方は僕の耳に。

「隣に座る口実できましたね」

触れる腕からぬくもりがが伝わってくるような気がして
胸の中まであったかくなる。
ホントは抱きしめたいけど、これで我慢。

「お前って…」
「ん?」
「……絶対モテるよな」
「何の話ですか?」
「ううん、別に」

何だか急に元気がなくなった気がして、心配になった。
向こう側の腕にそっと触れて、顔を覗き込む。
目だけで様子を伺った。

相変わらず星みたいな輝きを秘めた瞳。




「……!」




急にひんやりした体温を感じて、思わず下を見てしまう。

くっついてる方の腕。

指先を、スターが握っていた。




視線を戻すと、スターは口笛を吹く真似みたいな口をして、素知らぬ顔をする。
やることなすこと可愛くて…顔が緩むのを止められない。



「急にどうしたんですか」

「いーだろー。 俺のなんだから」

「僕の指はあなたの?」

「…違うのかよ」



ばちんと視線がぶつかる。
その瞳の揺らめきに…初めて、自分ってこんなに性格悪かったんだと自覚した。

…僕がモテそうで心配なの? 心変わりしちゃいそうだって。
自分だけのものだって、確認したかったの?

僕の存在に、行動に、言葉に、スターが揺れている。
それが、とろけそうなくらい嬉しいだなんて。





「違いません。」





指先を握り返したらスターはつーんと鼻を上に向けて、
当たり前だからなみたいに、ふふんと笑った。










「…ってゆうか、僕の携帯にメールしましたよね?」
「うん」
「……連絡先、交換してませんよね?」
「うん」
「………何で知ってたんですか?」
「覚えてた」
「…………どこで?」
「うん」
「……………どこだ?」



首を傾げたらスターの頭とこっつんこ。
顔を見合わせて僕らは笑った。










end..

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*Esperanza*のチカ*さんとコラボ企画★第三弾、【 恋する星 】 単発更新いってみたいと思います~♪
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コメント

きたーーーーーっ

アイドル来た♡
チャンミン社長だったんだ。え?私どこかで読み落とした????(爆)

んもほぉ~ユノかわいいから許して♪(←意味不明。)チャンミンかっこいいから~~~きゃーきゃー。YUKAさん好き~(←更に意味不明)

なんかすごいカップルだ!ドキドキするぅ。

アイドル楽しいね~♪

なんか徹夜明けの私。頭の悪いコメントでごめん………。
今日TUTAYA行くから(笑)

チカ* | 2016.11.13(Sun) 06:34:04 | URL | EDIT

ありがとうございます。

>チカ*しゃん
チャンミンスペック高い人でしたw 最強系好きだからそうなっちゃうのぅ
終わったけど、チカしゃんのスターは日参で読んでるからね♪
更新待ってますwww

YUKA | 2016.12.04(Sun) 15:06:20 | URL | EDIT
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YUKA

Author:YUKA
ある日突然、ユノに恋をしました。
気付けば、チャンミンに構って欲しいユノと、ユノの側にいてくれるチャンミンの図に、萌えまくっていました。腐り具合は、きっとこれから進行してゆくのでしょう。

東方神起ありがとう!

「東方神起 RISE AS GOD」
「東方神起 LIVE TOUR 2015 WITH」




素敵な画像をお借りしました。
ありがとうございます。