手 を 伸 ば し た ら 届 き そ う だ け ど 、

星 に 手 を 伸 ば し た り し な い 。


ず っ と ず っ と 遠 い と こ ろ で 輝 い て い る こ と を 、 僕 は 知 っ て い る か ら 。








【 恋する星 /02.】








僕の向かいに、イイ肉たちがジュウジュウ。
その向こうにスターがキラキラ。

ここは焼肉屋で、通されたのは個室。
僕らしかいない。


「食わせがいのある食べっぷりだな」
「腹減ってて…」


…だけど、こんなにがっつくにはがっつくなりの理由がある。


「そんなに見られると居心地悪いんですけど」


そうなんだよ、さっきから。スターが僕を眺めてるんだ。
なんてゆーか、お尻がムズムズする感じ。


「お前も見てたじゃん」
「!それは…」


…反論するすべがない。




もちろん顔はテレビやネット、広告でも知ってるし、イケメンなのも知ってる。
僕だけじゃなくて、みんなが知ってる。


だけど、二次元で見るスターと本物は、全然違った。


どこがって、…目が。
星そのものみたいに輝いてるんだ。
それでいて大きな黒目は、見つめたものを惑わせるような艶がある。
だけど微塵の濁りも無い。子供みたいに真っ直ぐ心を見つめる瞳。


この人の前で平然と嘘をつける奴なんて、誰一人としていないだろう。







「あなたは見られ慣れてるでしょうけど、僕は苦手なんです」

特にスターには。

「そーなの?見られるだろ、お前も」
「ヲタク感出過ぎですか」

スターは違うよと首を振る。

「お前、カッコイイから」
「は。なんですか、イヤミですか」
「イヤミに感じるってことは、俺のことカッコイイって思ってんの?」
「カッコイイって思われたいんですか」
「当たり前だろ。お前は思わねーの?」


正直…カッコイイはよく言われる。
今日だって、握手会でも周りの女の子に言われた。
なになにあの人かっこよくない?声かけようよ、えー。みたいな。きゃっきゃと聞こえる声で。

ただ、頭はレラ様でいっぱいなわけで。
レラ様の美しさを超える生物なんてその辺にいるわけない。
よって、その辺は空気と変わらない。
空気に何を言われようと色をなさない。
そして僕も、その空気の一人なんだから。


「みんな同じ顔です。僕だって同じ顔。カッコイイもなにも大差ないです」
「なるほど。ヒチョル以外はみんな似たようなもんってことな。じゃぁ俺もかー。」
「いえ、あなたは、」
「…俺は?」


ニヤニヤ問われる。
どうしても僕に言わせたいらしい。
なんか反抗したくなる。


「ま、空気じゃない程度です」
「空気?何の話かよくわかんねーけど、ありがと?」
「褒めてませんから」
「ちぇ。やっぱヒチョルには勝てねぇか~」
「当然です。」
「たしかに中身も見た目も美人だもんな。俺も認める」
「そうでしょう!!?? そうなんですよ!!!!」
「お、おぉ…」


あまりに力強く同意しすぎたのだろう。
スターは肩を揺らして笑った。


「そういや、橋の上でレラ様人形だっけ、失くしたって言ってたよな」
「その件ですね……。。。」
「チャンミン、チャンミン、泣くなよ?」
「それは難しいかもしれません…」


斯く斯く近々、経緯を話す。
途中、何度か泣きそうになったけど、僕がどれだけレラ様を敬愛しているかを交えて語った。
スターはうんうんしながら聞いてくれて、
話し終わる頃には、全部スターの黒い目に吸い込まれて、すごくスッキリした気持ちになっていた。







「そういえば、あなたは何であそこにいたんですか」

スターの登場シーンを思い出す。

「ヒチョルに会いに行ってたんだよ。」
「そうなんですね…」
「なに、羨ましい?」
「まあ羨ましいですけど…」

じゅうじゅう、肉をつまんでスターの皿に乗せて、
自分の口にも放る。

「けど、なんだよ」

スターはさんきゅと言って、もぐもぐ。
食べる所作も美しいなと、不意に思った。

「…なんてゆうんですかね、レラ様には僕の手の届くところに来て欲しくないってゆうか…」
「?…握手しに行ったんだろ?」
「そうなんですけど…難しいですね。」
「みんな近くで触ったり話したりしたいもんなんじゃないの?」

「それを分かってて、握手会をしてくれる。僕らへのその気持ちはすごく嬉しい。
 だけど、いつもそこにある星と同じように…ずっとずっと輝いているのを見上げていたいんです。
 だから手が届くところに降りてきてくれなくていいんです。
 レラ様の笑顔を分けてくれたら、それでいいんです。」

「……。」




静かな時間。




はっとして前に目を向けると、少し寂しそうに微笑んだスターと目が合って…
なんか悪いこと言ったかなと、焦ってしまう。


「あ、すいません。また語っちゃいました」
「…ヒチョルが羨ましくなったなー」
「何でですか」


スターはテーブルに頬杖をついた。


「お前に好きって言ってもらえて」
「熱狂的なファンはあなたにもいるじゃないですか」
「そーだな…」
「足りないんですか?」


否定も肯定もしないスター。
代わりに、手のひらを上に向けて、僕の方に差し出す。

そして、こう言った。









「俺のことも、好きになって?」









愛されてる。

スターはトップ・オブ・アイドルなんだから。
人が一生に得る愛を、毎日もらっているはずだ。
なのに、何で僕の愛まで欲しいと思うんだろう。
何が足りないんだろう。
満たされない想いはどこから来るんだろう。


目の前に差し出された手を握ったら、それが分かるのだろうか…。
もっとこの人の内側を知りたいと思う。
見せてほしいと思う。


だけど、この手は幻でしかないことも分かってる。
遠い遠い場所で輝き続ける、スターなんだから。









「お前の愛はヒチョル独占だもんな~」


スターは手の平で指をぎゅと握りこんで、腕を引く。
わざとらしくため息をつく様子に、さっきまでの陰はない。

そして、カバンをごそごそ漁ると、くしゃっとなった紙を取り出して、綺麗に伸ばした。


「なんですか、それ」
「ミニヒチョルの代わりにはなんねーけど、やるよ。」


渡された紙はチケット。


「これ…」
「再来週、ライブあんだ。」
「ええっ!!」
「会いに来いよ」



この人に、会いに行く…僕が…?



「でも、」
「なんだよ、興味ない?」

ぶんぶん首を振る。

「そんな、貴重なチケット…いただけません…」


ユノ・ユンホのライブチケット。
入手困難度、不動のナンバーワン。
パフォーマンスの完成度の高さは業界屈指との噂だ。
そんなライブチケット…どう頑張っても入手できないファンがいるのに、
会いたくても会えないファンがいるのに、僕がもらうなんて…


「そっか…」

スターはすんなり、引っ込める。
それが、また僕を焦らせる。

「あの、そーじゃなくて、」
「ん?」
「いらないとか、そういうわけじゃなくて…チケットは自分で手に入れて行きますからっ」


何を必死に自分で自分をフォローしてんのか分かんないけど、悪い意味に受け取られたくなかった。

驚いた様子のスター。
おっきな黒目がもっとおっきくなった。



「…………じゃー、待ってる」



目を三日月形にして、届くはずのない手が僕の頭を撫でた。











続く..

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コメント

チャンミン、まだ会ったばかりなのに肉をつまんでスターの皿に乗せてる~~~www
そんなところがツボでしたww

がしがし来てるねスター様は。
チャンミンにひと目惚れだったのかなぁ~♡
でもレラ様一筋のチャンミン。
そんなチャンミンがどうユノに惚れてくのか楽しみです!!!
え?惚れるよね?!(笑)

チカ* | 2016.10.15(Sat) 02:09:48 | URL | EDIT

ありがとうございます。

>チカ*しゃん
ツボはそこか!!ってツッコミいれちゃったじゃないかwww
ありがとうございますwww 
スター様のお心のウチは分かりませんのよねぇ。書いてる私にもまさかのわからない(笑)
そんなスター様に惚れない生物なんていないわけないスタンスですから←
ご期待くださいw

YUKA | 2016.10.20(Thu) 01:05:31 | URL | EDIT
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YUKA

Author:YUKA
ある日突然、ユノに恋をしました。
気付けば、チャンミンに構って欲しいユノと、ユノの側にいてくれるチャンミンの図に、萌えまくっていました。腐り具合は、きっとこれから進行してゆくのでしょう。

東方神起ありがとう!

「東方神起 RISE AS GOD」
「東方神起 LIVE TOUR 2015 WITH」




素敵な画像をお借りしました。
ありがとうございます。