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1 0 月 1 0 日 。

今 日 は 、 空 を 見 る 日 。







【 恋する星 /01.】







「はぁ…信じらんない」


今でも震えが止まらない。
この手を、握られた。
この肩を、抱かれた。


香ったにおいも、
感じた体温も、
触れた感触も、
目の前の笑顔も、
名前を呼んでくれた声も、

夢じゃない。
全部ホンモノだった。



…もう、一生分の運を使い果たしたに違いない。







僕は3年前からレラ教徒だ。


男のファンは珍しがられるし、恋愛対象が男だと思われる不名誉もたまにはあるけど、当然、
男性と女性でいうと、女性が好きだ。

ただ…
レラ様に限っては、男とか女とか、性別なんて関係ない。
もはや俗世を超越した美しさ。

でもそれだけじゃない。

自由人と呼ばれるくらい自分の信念に従って行動する人。そんな生き方は憧れだ。
だからって周りを無視してるわけじゃない。締める所は締める男らしさはもとより、
誰よりファンに真摯な人であり、情に厚い人でもある。


アイドルの本性なんてわからないだろって言う人もいるけど、
僕らに見せてくれるその姿がすべて。

そのすべてがレラ様のほんの一部分であっても、僕はその一部分が、全力で好きなんだ。





今日は初めての握手会だった。
勇気が出なくてなかなか会いに行けなかったけど…
ビギナーズラックなのか、握手だけじゃなく抽選にまで当たって、
完全オリジナルの非売品、レラ様人形をレラ様から直接、なんとハグ付きでもらってしまったのだっ!!


そんな…そんな一生に一度の機会が巡ってきたというのに、
大好きな人が目の前にいる事実が大きすぎて、何もしゃべれなかった…

10センチのレラ様をカバンから大事に大事にそっと取り出して、街灯越し、星空にかざす。



「いつだってレラ様の存在が、生き方が、
 僕に良い影響をくれること、力をくれること、
 ありがとうございます…
 レラ様が笑ってくれたら僕も楽しいし、
 レラ様が幸せなら僕も幸せを感じられるんです。
 だから、ありがとうございます。」


ぽつりと呟く。
実際のところは、空虚に溶ける独り言。


「…本物のレラ様にも、感謝を伝えられたらよかったのに」




そのとき、
ドンと肩に衝撃。

あ、と思った時には、ふわり。 手から離れて宙を舞う、小さなレラ様。
手すりを超えたその向こうに消えそうになる。
その下は       



「だめ!!」



身を乗り出して手を伸ばした。掴もうとしたけど届かない。

もっと、
もっと、
あと少し!
レラ様…!!


ふわり。
今度は僕の体が宙に浮く。



「ちょっ、あぶねっ!!」


誰かに強い力で引っ張られた。
だけどレラ様の方に必死で手を伸ばす。


「離せっ」


落ちちゃうじゃないか。
僕のレラ様が、落ちてしまう!


「離せって!!…ぁ…」


その姿が黒い闇に消えたと同時に
僕の視界はぐわんと反転し
次に見えたのは黄土色に照らされたアスファルト。

ぶつかる。
衝撃を予期して目を閉じた。



だけど。

…。
……あれ?
………どこも痛くない。
そーっと目を開ける。



「おい、大丈夫か?!」

声の方に首を回したら、唇が触れそうな距離に顔があって、オバケを見たような声が出てしまう。
しかも、後ろからしっかりホールドされていて、動けやしない。

「…離せっ」

ジタバタしてると腕が緩んだから、思い切り押しのけて立ち上がり、手すりまで後ずさる。

「ふ~、大丈夫そうだな」

声の主はホッとしたような顔で僕を見上げて、微笑む。


アスファルトに尻をついているこの男。
どうやら、こいつに引っ張られ、でもって下敷きにしたらしい。


けど自業自得。
こいつが僕にぶつかって……

直前の光景がフラッシュバック。



「…うあああぁーーーっ!! レラ様は!!!!」


慌てて手すりの下を覗き込む。
黒い川。緩やかに流れる音があるだけ。

どこにも姿は見えなかった。



「…そんな…」


愕然。
僕のレラ様が…


「えと、おーい」


つんつんと肩を叩かれる。


…コイツのせいでっ!!
振り返ると同時に、思い切り拳を突き出した。

スカッ。
見事に空を切る。

「なんで今なんだ!? ぶつかるなら他の日にしろよ!!」
「え、おいおい…」

反対からも拳を突き出す。
だけど当たらない。

「避けるなーっ!」
「待てって」

百発は入れなきゃ気がすまない。
でも…僕は平和主義だから、

「一発で勘弁してやるっ!」
「俺は川に落ちそうだったお前を助けようとしただけで」
「、ふえ?」

足を出そうとして途中で止める。
僕を助けようとしただと?

男ははぁと息をついて、ポケットから取り出した携帯を開くとプッシュした。

「あ、すみません。今盗難にあって…」

一瞬、暴行でまさか僕を?…と思ったけど、違ったらしい。
うんぬんかんぬん。
場所を口にする。
ここだ。
この人、何か盗まれたの?

「お前、名前は?」
「…えっ」
「早く」
「チャンミン…」
「フルネーム」
「シム・チャンミン」

男は頷き、電話口で告げ、はいとかええとか返事をして、090で始まる番号言って、携帯をたたんだ。
そして、


「カバン」


て、言った。


「カバン?」
「ごめんな、お前を優先して…スリは追えなかったんだ」
「スリ?」

カバン。
カバン。
そうだ、僕のカバン!
右左下、なぜか上もふくめ目を凝らしたけど、


「ないーっ!!!!」


まじか…
レラ様を失くしただけじゃなく、


「限定グッズが…」
「そこか! 自分のことも心配しろよ」

的確だけど的外れなツッコミ。
無性にイラっとしてしまう。

「当然でしょう?!財布も鍵も携帯も心配ですよ、でも!でも!でも!!
会場、数量限定なんですよ!もう手に入らないんですよ!朝から並んだし、
泣く泣く手に入らなかったファンだっているのに!他はいいから返して欲しいです!!
僕が買ったグッズがオークションに流れたらどうしますか。レラ様のファンとして申し訳が立ちません。
買い戻したいけど買っちゃだめだから我慢しなきゃなんですよ!また同じ事件が起こったら困るから、
非公式からは買っちゃだめなんです。ほんとは僕だって所有して誇らしい気持ちになれたのに。
毎日癒してもらう予定だったのに。てゆうかレラ様人形なんて超ミラクルスーパーレアだし、
しかも心を込めて僕にくれたのに、川に落とすなんて、レラ様に顔向けできません。レラ様を守れなかったなんて!!
犯人がレラ様の代わりに沈んで欲しいです。いえとりあえず僕が沈めてやります。」


ハァハァ…


言い切ったところで、ハタと我に返る。
僕は息継ぎもせず初対面の男に何言ってんだか。
しかも、落ち着いて思い返せば、川に落ちそうな僕を助けて、警察も呼んでくれた人。
対して僕は拳を振り上げ、イラツキマシンガントーク。


「えっと、その…ご、ごめんなさい」

と、同時に、
ぐぅぅー
腹が飯食わせろと主張してきて、慌てて右手で押さえる。

男はククッと笑いながら、いいよいいよと、顔の前で手を左右に揺らした。


「……お前、腹減ってんの?」


そういや、朝から何も食べてない。
ドキドキしてそれどころじゃなかったから。


「大丈夫です」
「財布ないだろ」
「……」
「バスにも乗れないな」
「…」
「家近いのか」
「…」
「飯、食いに行く?」
「お断りします」


知らない人についてくな。
これ鉄則。
助けてくれて、警察にも通報してくれたし、悪い人には見えないけど…
そもそも見ず知らずの人にご飯をたかるわけにはいかない。

「怪しくないって~」
「怪しくない人は自分で言いません」
「ぷはっ…たしかに」

何が可笑しいのかまったくわからないけど、男は笑いながら言葉を継ぐ。

「うんと、俺のこと知らない?」
「知るわけありません」

なんだ、新手のカツアゲか?
いやでも今僕、無一文。
半身を引いて警戒する。

「そっかー。俺の知名度もまだまだだな」

ひょいと肩をすくめてそんなことを言った。

知名度?
なんだ、こいつはタレントか何かか。

上から下まで全身を眺めたところで、一般人ぽさが無いことに気づく。
長身、足長、体格もなかなか…
顔も…なんだよ、イケメンか。

あれ、でもイケメンが過ぎやしないか…?


…ん?
……んんん?


暗くてはっきりとは見えないけど、
…どっかで……

首をひねる。

あー、そうそう…レラ様の…友達じゃない…?
名前も知ってる。

もちろんレラ様の友達だからという理由だけじゃなくて。

でもこんなとこでフツーに僕と、
言うなれば、トップ・オブ・アイドルが話してるなんてあり得ないことなんだけど、



「……ユノ・ユンホ」

あ、年上。

「…さん…?」

「おぉ。名前絞り出してくれてありがと。」



ホ!ン!モ!ノ       ッッッ       !!!

急に、ほんとに急に、背景がキラキラピカピカ眩しくなって、目を細める。
ユノ・ユンホ、恐るべし…
僕の脳に、あの人は光ってるんだよって判断させるんだから。

一応、名誉の為に言っとくけど、誰彼構わずそうなるわけじゃない。僕はミーハーでもなんでもないんだから。
レラ様以外の芸能人に会ったところで、背景変わんなかったし、「あ、なんかいる。」程度だったのに。



…にしてもだ、こんなキラキラしてんのに…なんで今の今まで気づかなかったんだろう…



親しげな笑顔を向けてくるからか。
レラ様とはまた違ったタイプでコミュ力高いに違いない。すっと懐に入り込む系。
しかも、その辺にいるお兄さんと同じような雰囲気を纏うこともできるらしい。


「……」
「おーい?」

ぽかんと顔を見ていたからだろう、苦笑いしながら顔の前で手を振られる。
僕はよくわかんないけど、コクコク頷いた。

「な、怪しくないだろ。安心した?」
「はい、まぁ…」

この人に限っては聞こえてくる風評、軒並み大絶賛。
あれだけの業界人が太鼓判を押す人柄だ。
警戒すべき人であるはずがない。

「よし、じゃあ、肉がいい?」
「肉いいですね。って何の話ですか」
「ノリつっこみか、なかなかやるな。飯の話だよ。」
「ツッコんだだけでノッてないですけど。ってゆーかお断りしましたし、そもそもなんであなたが僕に?」


大スターも大スター。
キッラキラのピッカピカですっごいスターが、なぜ僕をご飯に誘うのか。

当のスターは顎に人差し指を押し付けて、可愛らしく首を傾けた。


「ん~困ってそうだから。」
「………………正解ですね。」


たしかに、金ない、家遠い、腹減った、金ない。ループだ。
つまり、今から僕は凄~く困ることになるだろう。



そこに、サイレンを鳴らしながらパトカーがやってきた。
僕はため息をつき、スターは肩をすくめる。


「アレ、終わったら肉食いたくなんだろ?」
「間違いないです」
「やっと意見が一致したな」
「奇跡ですね」
「そこまでなのか」
「ええ、星が生まれる程度には。」
「…お前とは仲良くなれそうな気がする」
「どっからその結論が?」
「それそれ」
「どれ」



「笑った顔が可愛いから」


ぱちんと片目をつむって、僕を指差し、口角を上げてニヤりと笑う。
そして、行こうぜとばかりに、顎をクイと上げて合図した。


「…スターめ」
「なんか言った?」

振り返った斜め45度も完璧。

「あ~、まったく星がキレイですねぇ…」
「絶対悪口言っただろー」







空を見上げる。

顔がほんのり熱い。

見てるのが、空の星達だけでよかった。


目の前の星には、内緒だから。












続く..

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*Esperanza*のチカ*さんとコラボ企画★第三弾、【 恋する星 】パロディはじまりました。
わーわーぱちぱち。
アイドルと○○オタクをテーマにしたお話をチカ*さんと私で、それぞれ連載しまーす。
チカ*さんのお話はこちら!

お話でヒチョル兄さんご登場。シンデレラのように美しい人だから、最後の文字を取ってレラ様。
連載を落とさないように、が、頑張りたいと思います!!

ヘッダーのイラストはチカ*さん作でございますYO。
フフフ…ウチのヘッダーはユノ様ですが、チカ*さんのところにはチャミ様がいらっしゃいます!!
二枚繋げると……? そーゆーこと♪


でね、今日気付いたんだけど、お話の総和が70もありましたw
相当亀更新だったのに、よくもまぁ、そんなに書いたもんだと、自分でびっくりしました。
それを一話一話いいね!を押しながら読破してくださった方々、まったくありがとうございます。

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コメント

キターーーーっ。

キタね(笑)アイドル様!!
出会った瞬間からユノのインパクト半端ねーーー!!
カッコイイんですけど~~~~!!!!
もう恋に落ちちゃたのかなチャンミン。どきどきする~
それにしてもレラ教はYUKAさん?ってくらい熱く書けてるwwwスゴイwww

チカ* | 2016.10.10(Mon) 13:38:35 | URL | EDIT

ありがとうございます。

>チカ*しゃん
アイドルンホ、まぁーかっこええですよ。たまりませんwww
レラ様な。ペンサイト片っ端から、皆様の愛を読み漁り勉強して参りました。。。
いやー、レラ様、ナイスガイですよ。ユノさんと仲良しでほんとよかった。
そしてレラ様=ヒチョルにたどり着くまでが長かったよwww

YUKA | 2016.10.14(Fri) 23:51:29 | URL | EDIT
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プロフィール

YUKA

Author:YUKA
ある日突然、ユノに恋をしました。
気付けば、チャンミンに構って欲しいユノと、ユノの側にいてくれるチャンミンの図に、萌えまくっていました。腐り具合は、きっとこれから進行してゆくのでしょう。

東方神起ありがとう!

「東方神起 RISE AS GOD」
「東方神起 LIVE TOUR 2015 WITH」




素敵な画像をお借りしました。
ありがとうございます。
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