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tare.gif 【視線のさきには、/07.】






深夜のスタジオ。
鏡の向こうには涼しい顔をした僕。

クタクタになって床に倒れこんだ僕を、余裕の笑みで見下していた。



くそっ。



重たい身体を起こして立ち上がる。

服も重たい…。
絞れば水たまりができそうなシャツを脱いで、壁に投げつける。


負けんのはいやだ。
悔しい涙はいやだ。
不甲斐なさに泣くのはいやだ。

なにより、ユンホ先輩に、あんなこと…死んでもさせない。




ぐいと、目元を拭った。










あの後の楽屋。




「お前はもう帰っていいよ。」
「えっ、ユノヒョンは…?」

グーと親指を立てただけで楽屋を出て行ったユンホ先輩。
入れ違いに、マネージャーさんが入ってきた。

「ぴったり15分だな。さ、帰るぞー」
「帰るって…あの本番は」

マネージャーさんにはまだ伝えてない。
本番を明日に延ばしてもらいたいってこと。

「ああ、大丈夫だ。明日にしてもらえたから」
「え?なんで…」

それをユンホ先輩に告げたのはさっき。
マネージャーさんと話す時間はなかったはずだ。
ハテナになってるのは僕なのに、マネージャーさんの方が何言ってんだみたいな顔をするから、余計ハテナになる。

「…リハの段階で、もー明日にズラすって決めてたろ?」
「決まってたんですか?」
「えっ……」

マネージャーさんは目を瞬かせたあと、手のひらをぺちんと額に当てた。

「ユノの独断か…」
「いえ、さっき僕が……」
「えっ……」

2人して目をぱしぱし。
だめだ。本番が明日になった事実以外、何も噛み合わない。
一体、何がどう……



ピッコーン!ズザッ!!
頭のてっぺんに、今度はビックリマークが刺さる。

ユンホ先輩が言ってた不可解な言葉が、ここにきて繋がった。



リハの段階で僕が上手くできないことを予想していて、
マネージャーさんに本番の日程を明日にすることを相談してた。
だけど僕には伝えず、僕が言い出すのを待っていたんだ。

だからこそ、
魂の抜け殻なんかじゃなく、言い方は悪いけど…思い通りの方向に事が運んで 「 安心した 」 。

僕がリハさえ上手く出来ないことをわかっていたのに、やらせて、泣かせて 「 ごめん 」 。

そして、僕に現実を伝え、現状にぶち当たらせ、これからを考えさせた。
僕の出す答えがユンホ先輩と同じであることを 「 信じてた 」 。



つまり、1から10まで 「 知っていた 」 、ユンホ先輩の手の平で転がっていたわけだ。



「スーパーナチュラルだ…」



マネージャーさんも噛み合わない状況の原因にユンホ先輩を結びつけたのか、
苦笑いを浮かべていた。


「だな。あいつは、基本そーだから」


顔を見合わせて、頷き合う。


「とりあえず、帰ろうか。」
「はい。…あの、ご迷惑おかけしました。ありがとうございます。」
「気にすんな」

肩を叩かれる。
労りと励ましを、その手から感じた。





廊下に出て、並んで歩き出す。

「ユノヒョンはどこ行ったんですか?」
「あぁ…あいつはまだ仕事あるから」
「僕はいなくて大丈夫なんですか」
「正直、大丈夫じゃないけど。まぁ、ユノが大丈夫って言うんだから任せとけ」
「わかりました…。あの、今から朝行ったスタジオに行きたいんですけど」
「ああ、押さえてある」
「ええっ!?」
「え?」
「まさか、ユノヒョンが?」
「……だな…。」

小さな沈黙が落ちる。
僕が練習したいと言い出すことも予想済みだったってことだ。


あ!だらか…。
ユンホ先輩が言った 「 くやしいから泣いてんだと思った。 」 が、フライングなスタジオ予約に繋がるのか。


またきたスーパーナチュラル。





……気を取り直す。

「僕、1人でいいので、マネージャーさんはユノヒョンのとこに行ってください」

そう言ったとき、少し顔が曇ったのを見逃さなかった。
心配、そう顔に書いてある。
でも、すぐ消えた。

「もう1人スタッフ呼んだから、大丈夫だ」
「そうですか…」

あのユンホ先輩を心配する理由。
重たいことをしている証拠だ。

「あの、連れてってください」
「お前が行く必要はないから」
「お願いします」
「だめだ」
「ユノヒョンがそう言ったんですか」
「お前が考えるのは今日の事だけでいい。あんま背負うな」
「僕はメンバーでしょ?」
「もちろんだ」
「なら、ユノヒョンだけが背負うことなんて、あっていいはずない」


立ち止まったマネージャーはため息をついて、そして、誇らし気な笑顔を浮かべる。


「だな。……ユノには言うなよ」

約束だと小指を立てた。





連れてこられたのは、リハーサルをしていたスタジオ。
観覧のファンだろう、たくさん集まっていた。
あんな舞台に立つ予定だったなんて…

今更だけど震える。



「…あ。」


ユンホ先輩が出てきた。
凄い歓声。
だけどその後すぐに…ざわめきが起こる。


そこで、見たのは…ファンに謝るユンホ先輩の姿。


僕の名前は出さずに、自分のせいだからと。
謝っていた…



「スタッフ一人一人にも、頭下げてたな」


呆然と見ていた僕の肩を抱いて、マネージャーはそう言った。






ユンホ先輩の何でもないような返事。
軽いのは見せかけだった。

そりゃそうだ。
手間と時間とお金をかけて会いに来たファン。
僕らのためにしっかり準備していたスタッフ。




結果的に、僕は、…たくさんの人達の信頼を裏切ったんだ。

その尻拭いさえ、させてもらえないのが今の僕。





また、涙があふれた。






信頼に応えるには、きっと努力しかない。


努力の全てが報われるわけではないと言うけれど、
努力は人に認められて初めて、努力したと言えるのだ。
だから実らない努力なんてない。
実らないなら、努力が足りなかっただけのこと。




明日の朝、絶対に本番をこなしてみせる。

自己満足では、終わらせない。








続く..

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スーパーナチュラル=超自然現象

アメリカのドラマで、兄弟モノの悪魔とかミカエルとか神とか天使とかリヴァイアサンとか…
こう列挙するとカオスなんだけど(笑)バツグンに話がおもろいです。
兄弟がサムとディーンなんだけど、トンを重ねてしまう私…
この兄弟も、いい兄弟なんです。弟を全力で守るお兄ちゃんと、なんだかんだお兄ちゃんっ子な弟。
しかも兄貴は超イケメン。弟は背が高くてナイスバディ。たまらんのです。。

もうシーズン12。未だに面白いからね。

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コメント

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| 2016.10.16(Sun) 23:11:18 | | EDIT

ありがとうございます。

>バビコ さん
大好き&最高、頂戴いたしました(笑)
毎度、そんなに喜んでいただけると、更新のしがいがあるってもんです!!
二人の会話ね、私も好きなんですよ♪ 脳内ではきゃっきゃして遊んでる二人がいちゃいちゃより幸せに見えたり。
こちらのお話は、暗い方向に向かいそうで戦々恐々としていますが← どうぞもうしばらくお付き合いください~!

YUKA | 2016.10.20(Thu) 01:08:31 | URL | EDIT
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YUKA

Author:YUKA
ある日突然、ユノに恋をしました。
気付けば、チャンミンに構って欲しいユノと、ユノの側にいてくれるチャンミンの図に、萌えまくっていました。腐り具合は、きっとこれから進行してゆくのでしょう。

東方神起ありがとう!

「東方神起 RISE AS GOD」
「東方神起 LIVE TOUR 2015 WITH」




素敵な画像をお借りしました。
ありがとうございます。
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