tare.gif 【視線のさきには、/06.】






楽屋に引き上げるとき、マネージャーはしきりに僕の緊張を解そうと話しかけ、
逆にユンホ先輩は黙ったまま。
だけど “ 東方神起 ” とネームのかかった部屋のドアを開け、僕に入るよう促したところで
初めて声を発した。

「申し訳ありませんが、15分だけ2人にしてください。」

一緒に移動していたスタッフは顔を見合わせて、頷いた。





僕とユンホ先輩、2人だけには広すぎる楽屋。

バタンと音を立てて扉が閉まった。
でもユンホ先輩の気配がなくて振り返る。


誰もいない。
僕、一人だった。



それが分かった瞬間、
力が抜けてへたり込んでしまう。
涙が溢れてきて、視界が霞んだ。


ぽたりぽたりと流れ落ちる。
とめどなく。






         『 俺の隣はお前しかいねーよ 』         


ユンホ先輩が、言った言葉。

喜んでたのがバカみたい。
今なら分かる。
あれは…未来の僕のことであって、僕じゃない。


積み重ねてきた “ 東方神起 ” は、
針に刺され続けるような痛みと
両手じゃ持てないくらい重たいプレッシャーを伴う場所で
戦ってきた、
未来の僕だけのもの。




だから……

戦えない今の僕には、ユンホ先輩の隣に立つ資格がない。









「チャンミン?」

扉の音と同時にユンホ先輩が入ってくる。

「ごめんな、ちょっとマネージャーに…」


振り向いた僕がぐしゃぐしゃな顔をしていて、びっくりしたはずなのに。
一瞬目を見開いただけで、ふんわり柔らかい笑顔を浮かべた。
そして、僕の前に回ってしゃがみ込むと、親指で頬を拭ってくれる。
だけど涙はぷくぷく溢れて止まらない。
ユンホ先輩の指を濡らした。




「…なんだよ、安心した。さすが俺のチャンミン」

白い歯が見える。
キラッキラの笑顔。

「なんですか、それ」

僕が泣いてて安心したの?
意味わかんない。
僕はユンホ先輩のなの?
ユンホ先輩は誰のなの。


ぐずと鼻をすすると、ユンホ先輩がポケットからハンカチを出した。

受け取る僕。
反射的に涙を拭おうとしたけど、直前でハタと手を止める。





……使うのか?

あのユンホ先輩のだぞ。
ジップロックすべきだろ。

ぐず。
もう一度鼻をすすり、右の尻を上げて、ハンカチをスッとポケットにしまった……。





「なんでインしたんだ」

ユンホ先輩は目元をくしゃっとさせて可笑しそうに笑う。

「…おかげさまで思考が正常に戻りました」
「ぷっ…そーなのか。よくわかんないけど、よかったよかった」


太陽みたいな笑顔で僕の頭をよしよしする。
涙で目が霞んでてよかった。
眩しくて耐えられるレベルじゃない。



「…あの、」
「ん?」
「リハーサル、上手くできなくて…ごめんなさい。」


ぐず。


「そーだな。話、しよっか」


自覚していても肯定されるとキツイ。

ユンホ先輩はその場にぺたりと尻を落ち着けて胡座をかいた。











「なぁ、チャンミン」
「はい。」
「本番、どーする?」


いきなりの核心。
…重たい。
だけど、ユンホ先輩の声のトーンはティッシュくらいの軽さ。

できます。
僕がそう言うとでも確信しているのだろうか。

「…選択肢、あるんですか?」
「そーだな。お前がどうしたいかによる。」
「僕が、…」

…どうしたいか。
僕に決めろというのか。


ユンホ先輩はチラと時計を見てから、片手を開いて僕に向けた。
考える時間は、5分。







僕の目の前のこの人は、頬杖をつき、今にも口笛を吹きそうな雰囲気。
どっからどう見てものんびりさん。

結構な緊急事態に直面してるはずなのに。

この態度が本当か嘘かわからないけど、
これだけははっきりしてる。



ユンホ先輩は          厳しい人。


ベストな答えを持っているのに、教えてくれない。
それは、
僕の口からそのベストを聞きたいからだろう。


だけど、いくら考えたって、僕が出すべき答えは…ひとつしかない。
ユンホ先輩の隣に立つ資格がないってわかった時から、決まっていた。







「できません」



そう告げる。



「うん」




ユンホ先輩は静かに頷いた。
それだけ。

都合良く受け取ってもいいのかな。
僕の答えを信じてくれてるって。

精一杯の、ベスト。




「明日ならできます。 だから、1日だけ時間をもらえますか」


正座し、床にぶつかる勢いで頭を下げた。


「わかったー」
「えっ、軽っ!!!」


上から降ってきた声に、がばっと頭を上げる。

羽毛布団くらいのトーンで了承されるとは。
しかも、太陽の下、干したてフカフカの清清しさ。


「わかった」
「いや、低い声で言いなおしても今更ですから」


…すごく大変な決断をしたと思ってるのは、僕だけみたいだった。










「安心したって言ったろ?」


そう言って、胸をグーでトンとされる。
たしかに…言ってたけど…
泣いてる僕を見た第一声。
でも、


「…ユノヒョンの言うことは、難しいです」


すっかり涙の止まった目をごしごし擦る。
その軽さと安心に、何の関係があるんだ。


「チャンミンはさ、何で泣いてたんだ?」
「何でって…」


色んな感情があった、…と思う。
上手く説明できない。


「俺は、くやしいから泣いてんだと思った。」
「……くやしい…から」



言葉にしてみると…すんなり僕の中に落ちてくる。



「でさー、その件でお前に謝んなきゃだめなことがある」
「その件なんてありませんよ」

今日のことは全部僕が悪いんだから。
むしろ迷惑しかかけてない。





「俺、知ってた」
「?」
「だから、ごめんな?」



てへぺろなユンホ先輩。
頭のてっぺんにクエスチョンマークが刺さる僕。

なにを…?

…収録はうまくいかない、そうなることを?
僕が負けず嫌いだったことを?
むしろ負けず嫌いだったら何なの?

疑問が積もってく。
会話って1から始まるはずだけど、7あたりから始まっている、そんな感じ。


でも     、とユンホ先輩が言葉を継いだ。





「明日はできるって。お前ならそう言ってくれること、」


ユンホ先輩はすくっと立ち上がり、
僕に手を差し出しす。





「信じてたから」





10秒前にはてへぺろだったくせに。
見惚れるしかない、カッコイイ顔で言い放つ。

…なんて、威力のある言葉なんだろう。

迷いを与えることなく、僕にその手をがっちりと握らせた。



立ち上がった僕の肩を、
まるで戦友であるかのように
抱き寄せて、



げんこつ同士をこっつんこした。










続く..

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ゆのひょんに分からないことなど、ないのです!
次回、事件解決編ww

そして、私…更新率、良くないですか、今までに比べるとwww
書き手友達ができたからかしら~♪ルララ
読破してくださるかたがいるからかしら~♪ムフフ

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コメント

うぉぉぉぉぉぉ。
いいな、ゆのひょんいいなっ!!
今にも口笛を吹きそうな雰囲気。どっからどう見てものんびりさん。で。てへぺろ。なのにカッコイイ。
YUKAさんのゆの大好きっ。
そしてリアルチャンミン~
チャンミンらしいよぉ~ww
ぷくぷく涙を溢れさせて泣くんだよぉ~←そこ?
いや。綺麗なんだろうなぁって。ww
二人のやり取りが素敵過ぎてどきどきします。
次回事件解決すんの?!早くね?ww
気になるからいいけどwwww
楽しみにしてます。
早くねww早く早くぅ~ww

チカ* | 2016.10.06(Thu) 00:54:56 | URL | EDIT

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| 2016.10.07(Fri) 22:48:53 | | EDIT

ありがとうございます。

>チカ*さん

おはようございます。やっとコラボ企画書き上げ、更新前にコメ返をwww
リアル感大事ーっ!私とチカ*しゃんのリアル感一致具合は神だからね!
チャミの涙袋、ぷっくりだからね!!←
解決編もがんばるよ。でも、連載も新しくはじめったからね!二束のわらじ…がんばります!

YUKA | 2016.10.10(Mon) 06:59:39 | URL | EDIT

ありがとうございます。

>バビコさん

うおおおおおー!お久しぶりです!!未だにウチを覗いてくださってありがとうございます~!!!感涙。
そうなんです、いつの間にか終わらせたり進めたり、ちょくちょく更新はじめました♪
バビコさんは本当に私と萌えポイントが同じなのでしょう。特に二人の会話ね(笑)嬉しいコメントありがとうございます!!
ランキングもポチポチ押しまくりとか(笑)めっちゃありがとうございます。
私もバビコさんのコメントに元気をいただきました!お礼はお話でお返しいたしましょう!←

YUKA | 2016.10.10(Mon) 07:05:33 | URL | EDIT
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プロフィール

YUKA

Author:YUKA
ある日突然、ユノに恋をしました。
気付けば、チャンミンに構って欲しいユノと、ユノの側にいてくれるチャンミンの図に、萌えまくっていました。腐り具合は、きっとこれから進行してゆくのでしょう。

東方神起ありがとう!

「東方神起 RISE AS GOD」
「東方神起 LIVE TOUR 2015 WITH」




素敵な画像をお借りしました。
ありがとうございます。