tare.gif 【視線のさきには、/05.】






スタジオを出た僕らは、またワゴンに乗り込む。

「どうだった?」

マネージャーの心配と不安の入り混じった第一声。

ユンホ先輩は僕を見てニヤりと不敵に笑う。
そしてクイと顎をしゃくった。

「多分…大丈夫です」

答えたのは僕。
とはいえ、自信があるわけではない。
ただ、身体がルーティンワークみたいに動いた、というだけだ。

「まじかーっ…よっしっっ!」

派手なガッツポーズをして満面の笑み。
ユノは運転席に身を乗り出してシートに腕をかけた。

「ちょっと、マネージャー。信じてなかったのかよ」
「もちろん信じてたさ!業界屈指の練習量を誇るコンビだからな!ただ、事が事なだけに…初めてのケースだから」
「まぁ、……問題はこの先なんだけどな」
「……え?」
「準備してくれた?」
「ぁ、ああ…」

マネージャーからはファイルに挟まれた紙を、ユンホ先輩からはタブレットを渡された。

「歌詞、出てくるとは思うけど、念のため。あと、どんな感じに撮られるか頭に入れとけ」
「今日の台本も渡す?」
「いや、いい。密着系カメラ、チャンミン撮らないよう言っといてくれる?」
「わかった」
「チャンミンはとりあえず俺から離れんな。でも周りの空気を読んで動け。なんかあったら俺がフォローする」
「はい」

難しいことを言われている気がするけど、
やるべきことは分かってた。

収録という名の本番。
これをまずは完璧にこなさなければならない。

僕はイヤフォンを取り付け、ユンホ先輩の指示を忠実に実行しはじめた。









到着したのはテレビ局。
ビルの地下に入り、ワゴンを下りる。
そのままエレベーターに乗り、収録スタジオに向かう。


第一スタジオ。


メタリックな扉を開けると、たくさんの人がきびきび動いていた。
僕らに目を止めたスタッフがあいさつをしてくる。


「遅れまして申し訳ありません。よろしくお願いします」


ユンホ先輩はスタジオに響き渡るような大きな声で言い、
スポットライトの当たる煌びやかなステージに歩いていく。

みんなは笑顔で迎えてくれるのに、どうして空気はこんなにピリついているんだろう。
そんな中を、どうして普通に歩けるんだろう。

僕は顔を伏せて、後を追った。





そして僕らが立たされたのは、スポットライトのすべてが集まる光の中心。


急にドクドクと脈が速くなる。
なんだこれ…


たくさんのカメラが僕に向いていて、
たくさんの目が僕を見ている。
たくさんの声が飛び交い、
たくさんの言葉が僕らに投げかけられていた。


そんな中……僕の視界は色を失ってゆき、耳は音を拒絶する。

いつのまにか、影絵が動くだけのお芝居みたいな世界にいた。







大丈夫か?


ユンホ先輩が何か言ってる。
遠い。
ひどく遠い。
聞こえない。


「…………。」
チャンミン?
「……すみ、ませ、ん…」


揺れながら謝る声が、頭の中に響くだけ。
聞こえているのだろうか…。


…と思ったら、ユンホ先輩が僕の手に触れた。
瞬間、反射的にキツく握ったままの手を胸元に引き寄せて………


…ハッとする。


振り払うみたいな行為。
ただ…震えを隠したかっただけなのに。


でもユンホ先輩は気分を害した顔も見せず、
キリリとした顔でポンと肩に手を置いた。







          そうだ。

ここに居るのは、“ 東方神起 ” のユノ・ユンホ。

僕は、チェガン・チャンミン。









ワゴンで見た映像の僕らは、『東方神起』 と紹介されていて、番組ではトリを務めていた。
登場した瞬間、歓声で地が揺れる。空気が変わる。
ピリっとするというより、浄化されてクリアになる感じ。
…本当に凄かった。
これがトップアーティストでなくて、何だというのか。

しかもパフォーマンスが始まったら、圧倒的なまでの存在感。
空気も感情も視線も全てを掌握する絶対的王者の風格。

ファンへのサービスだって僕だったら恥ずかしくてできない。
だけど、映像の中ではセクシーだったり可愛かったり、なにより踊りも歌もめちゃくちゃカッコよくて…
僕と同一人物だとは、一瞬たりとも思えなかった。

なのに、これを僕が…やる…?

たしかに、身体は動いた。
それだけ。
動いただけ。

立ち姿すらもう別人なのに、できるわけがない。
レベルが違う。


……それがわかっていてもなお、

役割をこなさなきゃ。
しっかりしなきゃ。
やらなきゃ。
踊らなきゃ。
歌わなきゃ。

僕は今、ユンホ先輩の隣に立っているんだから。












          それなのに。






音楽が鳴り始めても、どうすればいいのか分からなかった。

身体は動かないし、声も聞こえない。

何も出てこない。




ユンホ先輩はそんな僕を見て

周囲のざわめきから守るみたいに、





抱きしめた。



「ごめん、チャンミナ…」









続く..

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気持ちって…本当に人をダメにもするし、良くもする。
人前で何かするって、凄く苦手。
頭で考えてたら、出てこなかったとき、焦る焦る、間違う間違うww

時にユニカビジョン行って来たー♪
二人にはやっぱ大画面が似合うね!おっきいハコが似合うね。日産すら余裕だね!!
たくさんの人が群れて見上げてる様子に、通っていく人が「おお…何だ」ってなってるのが面白かった。
おいらたちじゃなくて、ささっ、画面をごらんよ。立ち止まっていいからさ。群れに加わりなよ。って思ってた。
フェスユノもえかったね。しゃべり方…ほんと好き。微笑が止まらない。ほんと好き。

でも、東方神起の中で生きる二人がいちばん好きだから、早く帰ってきてほしいのう。。

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コメント

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| 2016.10.02(Sun) 19:23:30 | | EDIT

ありがとうございます。

>チカ*しゃん

抱きしめちゃったー!!!そりゃー、ゆのひょんは守ってくださいますよ、チャミ様のこと。うんうん。
トンの大スターっぷり、感じてくれた? 嬉しい~♪言葉にできないBIG感…言い表せないったら!!!!!
スパスタ!歌うしかないねwwww
チャンミンのスパスターで吐息で歌うところがすげーすき。ユノのセクチ脱ぎがすき。はぁ、たまりませんな。

YUKA | 2016.10.05(Wed) 22:40:27 | URL | EDIT
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YUKA

Author:YUKA
ある日突然、ユノに恋をしました。
気付けば、チャンミンに構って欲しいユノと、ユノの側にいてくれるチャンミンの図に、萌えまくっていました。腐り具合は、きっとこれから進行してゆくのでしょう。

東方神起ありがとう!

「東方神起 RISE AS GOD」
「東方神起 LIVE TOUR 2015 WITH」




素敵な画像をお借りしました。
ありがとうございます。