tare.gif 【視線のさきには、/03.】






ユンホ先輩が指差していた部屋。
とんとん、ノックする。


……。
ノーリターン。


一応「失礼します…」小声で呟きながら、ちょっとだけドアを開けた。


だがしかし。


数センチ…そこから見えた光景に、さっきまでの控え目はいづこへ、思いっきりドアを開け放つ。
そして一秒後には、部屋の中に入り両手を胸の前に重ねて、凄い勢いでキラキラしてしまっていた。

そう、そこはまるで、僕の欲求を反映したような楽園だったから!!






「………すっげ…」






壁という壁に、大っきいのから小さいのまで、様々なユンホ先輩の写真が飾ってある。
見たことのない先輩ばっかりだし、しかもプライベート感満載のポラロイドまで!!
ファンにはたまらない、垂涎モノだ。

僕だって、こんな楽園創りたかった。だけどキュヒョンと同室だったから…実現できるはずもなく。
まあそれ以前に、その辺のミーハーと同じだと思われるのも癪で、チラッとですら打ち明けたこともなかったんだけど。


にしても、この楽園の創造主は誰なんだ。
ユンホ先輩の熱狂的ファンでしかも同室の生徒がいるなんて…聞いたことない。

とはいえ誰かが住んでるのは間違いない。
壁をギャラリーにしているせいで、家具が部屋の中心に集まった独特な配置だけど、生活感はある。





先輩と一緒に生活するってどんな感じだろう。
……羨ましいような、耐えられないような。






「チャンミン?」
「ハイーッ」

急に声をかけられてビクッとなる。
振り向くと、ユンホ先輩が入り口に肩を預けて立っていた。


「着替えは?」


と言われても。
この部屋に僕の荷物らしきものは見当たらない。


「えと、僕、服とか持ってきてるんですか?」


我ながら変な質問だ。
自分の事を人に聞くなんて。
そりゃ驚かれるよ。
慌ててフォローを入れる。


「あの、変なこと聞いてすみません。
でも本当に、寝て起きたらここにいて何がどうなってんのか、わかわからなくて、僕の荷物とか…」
「荷物もなにも…ここ、お前の部屋だろ?」

ユンホ先輩はしどろもどろな僕を遮って、そう言った。



ここが僕の部屋…?
僕の部屋…
僕の部屋…
ってことは、


「っえっ……え      っっ! ユンホ先輩の写真…」


全部端から端まで、僕のもの!!僕のもの!!僕のもの!!
海賊王がお宝をGETしたら、きっとこんな気持ちなんだろうな!
何故どうしてという疑問より喜びが勝っていた。







だけど。







真剣な顔をしたユンホ先輩があっという間に僕との距離を詰めてきて、
ぶつかるみたいに腕の中に抱き込まれる。






「…… 記憶、消えたんじゃなくて消したかったのかもな。
お前にとって、…東方神起も、俺も、…  重 た か っ た ? 







最後のほうは、言葉を発したのか、発していないのか、
耳元なのに…受け取ることができなかった。

抱きしめられて、動揺したからじゃない。


吐息。
拍動。
体温。


感じるほど近かった。

だけど、

ユンホ先輩の声があまりに揺れていたから。

回された腕は強いのに、縋るようだったから。


不安。
失望。
寂然。


一気にガツンと押し寄せて、耳を塞ぎたかったのかもしれない。




…ただ、分かったこともある。

僕とユンホ先輩には、僕の知らない歴史があって。

だからこそ、僕が疑問に思ってること、口に出したすべてがユンホ先輩を傷つけた。

それに気づいたのが今更だったのは、僕がちゃんと見ていなかったから。

もう質問しない。

まっすぐ、見ていよう。












「…なんてな~。ごめんね、チャンミン」

陽気な声と一緒にユンホ先輩の体がすいと離れる。

「まぁ、お前の記憶が空白でも俺の中にあるから、いつでも埋めてやる。心配すんな?」

頭をポンポンされる。
優しくてあったかい、太陽より眩しい笑顔。


「ユンホ先輩…」

覚えていなくてごめんなさい?
早く思い出せるようにがんばります?
どれも違う。
今の僕は返す言葉すら持ち合わせていないのだ。
不甲斐なくて涙が出そう。
けど、それが相応しくないことだというのは分かる。
だから僕も精一杯の笑顔を作って頷いた。








「あ、呼び方な。今まで通り、ヒョンて呼べよ」

ユンホ様とは呼べてもヒョンだなんて…!!
ファンの男共に申し訳ないやら、照れくさいやら…

けれど僕の空白を埋める、これも一つのピースなのだろう。
意を決して言ってみる。

「……ユノ…ヒョン?」

だいぶ声はちっちゃくなったけど。

「よし。」

それでも本当に、本当に嬉しそうに笑ってくれた。





              あー、そっか。





ユノヒョンがくれた笑顔に、答えのひとつが隠されてたみたいだ。

ここにいる僕は、遠くからユンホ先輩を見ていた僕じゃない。
ユンホ先輩を笑顔にできる存在なんだ。





              だから、ここに。 ここに、いる。










もう一度、名前を呼んだらどんな顔するんだろう。
調子に乗って言ってみた。

「 ユノヒョン 」












続く…

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当ブログのお話を全話読破&いいねをくださった猛者がおりまして!! ありがとうございます!
おつかれさまでございました(笑)
たまにそんな素敵な方がいらっしゃって、楽しんでいただけたからこその読破だと!!良いほうに捉えてムフムフしていますw
重ねて、誠にありがとうございます!
それに最近は、みんなが大好き*Esperanza*のチカ*さんとお知り合いになる機会があって、初めての書き手友達ができました♪
ひっそりと書き続けていると、そんなこともあるんだなぁと感慨深くなりますね。
さて、【視線のさきには、】雲行きが怪しいようなそうでもないような。
ゴールは二人の幸せ!これを目指しますので(笑)よろしくお付き合いください。

741s


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コメント

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| 2016.09.18(Sun) 06:19:25 | | EDIT

ありがとうございます。

>てるる さん

初めてのコメ!!ありがとうございます♪
続きを待っていてくださったのですね。本当に亀も亀、亀よりのっそりな更新でごめんなさい。
でも今年は(今年こそは!)更新率上げてくのが目標なので、楽しみにしていてくださいね!
よし、堂々と宣言もしたので(笑)がんばります!

YUKA | 2016.09.26(Mon) 00:54:10 | URL | EDIT
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Author:YUKA
ある日突然、ユノに恋をしました。
気付けば、チャンミンに構って欲しいユノと、ユノの側にいてくれるチャンミンの図に、萌えまくっていました。腐り具合は、きっとこれから進行してゆくのでしょう。

東方神起ありがとう!

「東方神起 RISE AS GOD」
「東方神起 LIVE TOUR 2015 WITH」




素敵な画像をお借りしました。
ありがとうございます。