tare.gif 【タレソカ学園高校/22.】





弧を描いているソレがユノに落ちる前に、手のひらで受け止める。


グシャリ。
手の中で潰れた、腐ったトマト…。

ぺしゃ。
落ちた残骸が、アスファルトで砕ける音がした。

しん。
さっきまでの雑音が嘘のような空間で、

ギリ。
歯が鳴る音がした。






許セナイ          





フラッシュバックする記憶。


謂れのない誹謗中傷にさらされて、身も心も傷ついた日々。
二度も同じ目に合わせるなんて。





大股で彼女たちの方にズンズン歩く。

いきなり185センチ以上の男子が迫ってきたんだ。
圧迫感を感じて当然だろう。
じわりとすり足で後退りした。

自分の行為がユノにどんな迷惑をかけるかとか、分からないほど子供じゃない。
だけど此処での僕は、一般人で、しかも高校一年生なんだから、何を我慢する必要がある?

アスファルトに散った残骸を、残酷な顔に擦り付け、
美人が上がったねって言ってやりたい。

聖人でもあるまいし、右の頬を打たれて左の頬まで差し出すなんて僕にはできない。
むしろ二度と手を上げられないように、きっちり釘を刺しておくべきだ。



そうでしょう?


同意を求めるようにチラと振り返る。
だけどユノと目が合った瞬間…

そんな僕の熱は、しゅーってあっけなく散っていった…




洋服にべっとり付いた赤いシミ。
頬を流れる赤い雫は、血の涙のように思えてしまって
僕のほうが目を反らしてしまいたくなる現状なのに、

…黒曜石のような瞳には、

憎しみとか
苛立ちとか
恨みとか
怒りとか
不安とか
自棄とか

そういった負の感情が、一つも無かったから。





思い出す            



“何も知らないくせに!”

何度も何度も繰り返し呟いた。

事実は真実とかけ離れているのに
僕らを信じない人たちが、容赦なく斬りつけてくる。

寒くてもいい。暗闇でもいい。
僕しかいない世界にいられたら、どんなに楽だろうって、
想像の安楽地に逃げ出していた日々。

だけど、…そんな世界は、ユノによって晴れやかに塗り替えられたんだ。


はっきりと覚えてる。
空港で…僕らを待つファンの声が…罵詈雑言にしか聞こえなくて…
見つからないように出ようって、マネに必死でお願いしていたときのこと。


「…チャンミン」


気づけば目の前にユノがいて、僕の両耳をその手でぴったり塞いでいた。
声は聞こえないけど、名前を呼ばれたことはわかった。

「なんですか」

自分の声が反響して頭に響く。
不安と不信に揺れる声だ。

顔上げろ

「え?聞こえない」

堂々と歩け

「手、離して」

お前には俺がいるだろ?

「ひょんってば」

何があっても、守るから

「……ユノヒョン?」

大丈夫。絶対大丈夫だから。ほら、笑って?

何て言ってるのか、全然わからなかったけど、
天使みたいに邪気のかけらもない、ただただ優しい顔で僕に笑いかけるから
なんとなく僕も笑みを返さなきゃいけない気がしてきて
精一杯の笑顔を返したんだ。

その時も、思った。

この人は他人の悪意に染まったりしない。
汚されもしない。

すべてを飲み込んで、なお在りのままで在り続ける希望と強さを持った
美しい人なんだって         






     まいった…。
ちょっと優しい気持ちになってしまったじゃないか。

でも、釘は刺しておく。


僕は汚れている手を自分のシャツにこすりつけてからポケットに入れた。
彼女の視線はそっちに移り、表情には明らかな怯えと緊張が浮かぶ。

刃物でも出てくるんじゃないかって?
もちろん殺意を覚えなくはないけど。

だけど僕が取り出したのはチェックのハンカチ、名前の刺繍入り。
彼女はホッとしたように息を吐いたけど、直ぐに太めの眉をしかめて僕を見上げた。

僕は不安げに揺れる瞳に高さを合わせる。

すると揺れはピタリと止まり、瞳の中には少女漫画に出てくる王子様みたいな、
背景にキラキラを貼り付けた笑顔が映った。




「手…」
「……て?」




彼女は初めて聞く言葉みたいに繰り返す。
僕の顔を凝視したまま。



「白くて綺麗なのに…」
「あっ!」


ようやくトマトの残骸が残った手のことだと気付いたみたいで、慌てて後ろに隠そうとしたけど
それより早く手首を捕まえる。
今度は体ごと後ろに引こうとしたれど、許さない。

僕はずいと顔を近づけて、真っ直ぐ見つめた。
睫の一本一本まで見える距離で。

そしたら抵抗がピタリと止まる。

そう。それでいい。
褒めるように小さく頷いてから、彼女の手をそっと握って、ハンカチで拭った。
それはもう尽くすオトコのごとく。
一本一本、指先まで丁寧に、丁寧に。
優しく優しく。

時間をかけて。



「はい、綺麗になった」
「……ふぇ?、あっ…、あり…ありがとう…ゴザイマス」
「ん?あはは、どういたしまして」


急にしおらしくなった振る舞いに声を上げて笑うと
彼女はさっと顔を赤らめた。

もう十分だろう。

屈んでいた体を起こして、遠目から様子を見ていた女子たちにも
ぐるっと顔を向け、ひとりひとりと目を合わせる。


「これからも…あの人のこと、よろしくね?」


あの人が誰を指しているのかすぐに分かったみたいで、
僕をすり抜けて視線が背後に集まる。

「僕の大切な…ダンスの師匠で、兄貴で、家族で、相方なんだ」

さらにそう言葉を継ぐと、また視線が戻ってきた。





だからね?
最後まで言わなくてもわかるよね?


念を押すように少しだけ首を傾け、
トドメとばかりに笑みを深める。






カッコイイとかカワイイなんて言われるのは照れくさいけど、
僕の外側を容創るこれが、対人において驚くほどの効果を発揮してくれることは知っている。

カクカクと首を縦に振る彼女もしかり。
息を忘れたかのように静かなギャラリーもしかり。





これでもう、彼女達の悪意はユノに向いたりしないだろう。
目的は、達成した。








だから振り返る。

そしたら今度は、何ともいえない複雑そうな顔をしたユノと目が合って…
でも僕の意図は伝わっているのか、
ちょっと困ったように微笑んでから、おいでって手招きしてくれた。

それが何だか嬉しくて…
思わず駆け寄る。

でもすぐに、ハッ…!!となって足を止めた。



こんな…エサに釣られた子犬のように尻尾を振って駆け寄っては!!



そろーっと、女子達を振り返ると…

…だよね。
予想通りのポカン顔。

僕のスウィートビューティー王子様計画が台しじゃないか。
ツメが甘いって、こういうことを言うんだろう。




ユノはといえば…
くくくって、笑ってた。








続く..
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久しぶりの更新。

ついこないだ、コメントをいただきまして…
ウチの二人が好きですーって。やっぱりそういってもらえると嬉しいんですよね。
なぜなら、私も好きだから(笑)
自画自賛か!ってツッコミをいただきそうだけど、文章の上手い下手とかお話の面白さとかじゃなく
私も私の中の二人が大好きだから。嬉しいんです。
xxxさん、ありがとうございました!
優しさに甘えて、亀の歩みでも…更新していきます♪

もうすぐ二人とも表舞台からいなくなる。
でもユノさんに至っては、相変わらずの輝きっぷり!!
正直…東方神起の曲を一人でやってほしくはなかったけれど、
それでも、圧巻といいますか…格好良すぎて鬼リピですよ。
ユノさんの居る場所が東方神起なんだっておっしゃったブロガー様に激しく同意でございました。

それでも、やっぱり二人一緒がいちばん。
どうか…こっそり文通とかしてますように…(笑)

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コメント

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| 2015.11.19(Thu) 11:28:18 | | EDIT

ありがとうございます。

>XXX さん

お名前、会ってますYO&爆笑していただけて何よりでございます(笑)
二方が入隊しても、ちょいちょい元気な姿を見せてくれるし、トンへの愛は冷めるどころか、増すばかり…
しかもチャミ様のお手紙とか、萌えしかないですようw
最近はWITHを見返して、Callingのハモリに酔いしれております。
タレソカはなんか終わる気配がないけれど、書き書きしてゆきますので、おほほと読みにいらしてくださいませ♪
うちの二人もそろそろいい感じになるんじゃないかしらねぇ♪むふ。


>nemomo さん

こんばんは!お久しぶりでございます~!!忘れずにいてくださって、ありがとうございます♪
しかも嬉しいとか!!恐縮でござります。お言葉を頂戴するたびに、更新してよかったなーって、思うのです。
現金なヤツめですよ(笑)
タレソカなチャンミン様はユノ様より実年齢はオトナですからね♪
可愛いチャミさまも、カッコイイチャミ様も大好きで大好きで大好きだから、それぞれの話でチャミ様のキャラクターが
安定しないという弊害もありますが…!!また、遊びにいらしてくださいねー^^

YUKA | 2015.12.07(Mon) 05:18:49 | URL | EDIT
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YUKA

Author:YUKA
ある日突然、ユノに恋をしました。
気付けば、チャンミンに構って欲しいユノと、ユノの側にいてくれるチャンミンの図に、萌えまくっていました。腐り具合は、きっとこれから進行してゆくのでしょう。

東方神起ありがとう!

「東方神起 RISE AS GOD」
「東方神起 LIVE TOUR 2015 WITH」




素敵な画像をお借りしました。
ありがとうございます。