tare.gif 【タレソカ学園高校/16.】






「ここにいたのね」


突然背後から聞こえた声。

    ピリッ。

ユノの表情に変化はないけれど、雰囲気にほんのわずかな緊張が混じる。
誰が来たのだろうと思いながら振り向くと、黒髪の…二度見してしまいそうなほどの美人が立っていて、
僕を見ていた。


この人どっかで…

……え?
………ん?

あーっ!!



「………ふ、副会長!?」



驚く僕を見て、副会長は満足気な笑みを浮かべた。












……マジですか。
失礼なこととは分かっていながら、頭のてっぺんからつま先まで往復で眺めてしまう。
同一人物とは思えないんだけど…
だって、始業式のときは、愛想ゼロ!不純異性交遊なんて汚らわしい!潔癖真面目なメガネ女史って感じだった。
今はメガネしてないし、艶々な黒髪に似合った化粧もばっちり。雰囲気も柔らかい。
他の女生徒と同じ制服を着ているはずなのに…ここにいるのは、ユノの好みど真ん中の、清楚で清廉な美女。
文句のつけどころがない。100点満点。


なんて、総評している場合じゃない。
頭の片隅に居座っていた小さな不安が、一気に頭角を現してくる。
毎日ユノに会っているはずなのに、休日にまで会いに来るなんて…
しかも、この気合いの入りよう。
これからデートなの。見ればわかるでしょ?と言わんばかりだ。


      ユノと付き合ってるってウワサは、本当だった?


とはいえ、……気になるのは、さっきの…ユノの様子。
恋人に対する種類のものではなかった。
どれかといえば、会いたくない人物が現れたかのような…

もしかして、バレる云々は、その他大勢に迷惑をかけるとかの話ではなく、特定の個人を指していた?
この場合、特定の個人とは副会長を指すわけだけれど、副会長は生徒会の仲間だ。
ユノに限ってそんなわけない。


じゃぁ、二人の関係は?
恋人?
仲間?
それとも別の…何か?


……全然わからない。








そのとき、

「おはよう」

淀みのない、澄み切った声が、僕を通り越して副会長に飛んでゆく。
さっきまでの声質とは違いすぎて、驚きつつ振り返ると…



「ヒョ……、ン?」

きりり。
まさに、きりり。
さっきまでの9割り増しくらいで、きりり。

無駄にユノのイケメン度がアップしていた。

見事な変わりっぷり。
脳内をぐるぐるしていたアレコレなんてキレイに吹っ飛ぶ。








「…なんで笑ってんだ」

声をかみ殺して肩を震わせる僕を奇妙そうに見るユノ。

「くく…だって、その顔…」
「顔?」
「そそ。その顔です」
「なんかついてる?」

指先で顎のラインを往復する仕草。
それすらキマり過ぎている。

「さっきまで、こーんな口してたくせに」

ユノの唇をつまんでひっぱって、アヒルにしてやった。

「む! ひゃふぇろよ」
「急に生徒会長モードですか?」
「…!」

ぱちくりした大きな黒目が僕を見る。

「?…なに驚いてるんですか」
「あー…うん、」

モードチェンジがバレて恥ずかしかったのか、ユノは両手でほっぺを包みながら瞳を伏せた。




音楽の仕事をしているときのユノは、真面目で厳しくて真摯。しかもこれでもかというくらい、ひたすらに大人で男前。
ファンのために仕事をしているときのユノは、誠実で正直でひたすら優しい。
かと思えば、エロさMAX、セクシー爆発、フェロモンダダ漏れ、ときどき天然。
テレビの仕事をしているときのユノは、爽やかでおちゃめでキュート。笑い声がみんなの癒し。ときどきカッコーつけ。
仲間といるときのユノは、みんなの太陽。キラキラしていて、眩しくて、そしてあったっかい。
さりげない優しさと、質実剛健さは、誰もが敬愛して止まない。ときどき空回る感じすら愛しい。

普段から切り替えの見事さを見慣れているから何の違和感も感じていなかったけれど
よくよく思い出してみれば、最初に会ったときのユノは、きりり完璧!生徒会長モードだった。

じゃぁ……

        一体、いつから生徒会長モードじゃなくなってた?





「なーに、一人でニヤケてんだよ」
怪訝そうな声にツッコまれる。
「もともとこーゆー顔なんです」
「うっそー」
「嘘? じゃぁどーゆー顔ですか」
「えっ!?」
「こーゆー顔じゃないんでしょ?」
「…それは…えと、結構カッコイイってゆうか…可愛いってゆうか…」
「ユノヒョンのタイプですか?」
「俺?ん~お前の目とか…すげー綺麗だと思うよ」
「好きですか?」
「うん。好……って、何言わせんだよ!」
「はっはっはー」
「何かもてあそばれた気がする-っ」

ジタバタするユノ。
マネする僕。
笑うユノ。
笑う僕。

そうそう、二人だけのときのユノは、こんなだ。
ちょっと子供っぽくて、だいぶ自由。
どのモードにも属さない、普通の青年。



だから…

          それってつまり、そういうことでしょ?












「ん゛っん~」

割って入った咳払い。
ハッとして顔を見合わせる。

そうだ、そうだった。
全然二人だけじゃなかった。



「…チャンミン君、おはよう」

かなりの置いてけぼり状態だったと思うけど、
何かありました?ってくらいの澄まし顔。

「……お、おはようございます…」

恐る恐る挨拶を返したら、
ザ・女子力!みたいな笑みが返ってきて、ゾクっとしてしまう。
その微笑みが逆に…恐ろしい。

しかも、副会長はその表情をより深くして、ユノに目を移す。
そして、

「ユンホ君…」

何かを訴えるように名前を呼んだ。
ね、お願い。そんな響き。
しかもお願いしておいて、絶対その通りになるという自信を持った、そんな顔で。

副会長の視線を追って振り返ると、
ユノの視線はまっすぐ副会長に向いていた。


「……。」
ユノは何も答えないし、頷きもしない。


それが僕には、二人が目だけで会話しているように見えた。
僕が介入する隙間なんて、1ミリほどもない。
今度は僕が、置いてけぼりをくう番だった。


「ユンホ君。」

もう一度、副会長がユノの名前を呼ぶ。
今度はお願いではない。棘を含んだ…そんな響き。


「……。」
それでもユノは何も答えないし、頷きもしなかった。


ただこの空間の空気だけがどんどん重くなって…氷になって落ちてくるんじゃないかと思ったとき、
ふっと、ユノの肩から力が抜けた。
同時に空気も軽くなる。

ユノは僕を見た。
そして、申し訳なさそうに微笑む。

「……お前…なんて顔してんだよ」

大きな手が僕の髪に触れて、わしゃわしゃとかき混ぜた。
自分がどんな顔をしていたのかよくわからないけど、たぶん、心配って毛筆で書かれるレベルで表れていたのだと思う。


だって、明らかに二人の空気感がおかしい。
別に副会長が何をどうしてそうなってるかなんてどうでもいいけど、
まるでプレッシャーをかけているかのような、あの態度。
ユノは平然と受けているように見えたけど…

…気付いてしまったら、意識せざるを得ない。

今のユノは、生徒会長の顔をしている。
完全無欠、鉄壁の超人。
それはつまり、ユノの表情と心が必ずしもリンクしていないことを示す。







「あー、俺、ちょっと席外すな」
僕の髪をぐしゃぐしゃにしたままで、ユノが立ち上がった。

「どこ行くの?」
「調べものがあるから、資料探してくるわ」
「じゃあ僕も行きます」

慌てて腰を浮かすと、笑いながら制止された。

「お前はここで勉強だから」
「もう終わりました」
「まだだって」
「そもそもヒョンに付き合ってただけですからね?」
「だーかーら、とりあえずお前はあと3時間くらいここに缶詰めなの」

カンヅメ?
一歩も動けないって意味?

「……まぁ、頑張れよ」
「ちょっと」

理由が分からない。
なぜ僕が缶詰にされなければならないんだ。
締め切り間近の小説家でもあるまいし。

「サボったら鉄拳飛んでくるから、気を付けろ」

鉄拳?
格闘アクションゲームでもあるまいし。

急な展開に僕がどれだけ戸惑っているか気づいているはずなのに、軽快にしゃべるユノ。
しゃべりながら、机に広げていた勉強道具一式をまとめて、向かいの席にずらす。
僕のいる、ななめ前。
そして、椅子も空けた。

…なんで?
資料を探しに行くだけならそのままでいいはずなのに。

増えるだけで減っていかない疑問。
とりあえず、説明してほしい。

「待って、ヒョン」
席を離れようとするユノを引き留めるために手を伸ばした。
だけど、その手は柔らかい身体に遮られる。

そして、




「ありがとう、ユンホ君」




ユノのいた場所に副会長が      座った。
同時に、ユノが歩き出す。

交わる、視線。
でもそれは本当に短い時間で…
僕の横をすり抜けるとき、ユノは目を閉じた。



振り返える僕。
振り返らないユノ。



…だめだ。
これはだめだ。
何がだめなのか分からないけど、直感がそう告げている。

だから追いかけようとしたのに、
背後から腕を取られた。





「…さぁ、はじめましょう?」

振り返ると、副会長が蠱惑的な笑顔を浮かべて、僕に微笑んでいた。








続く..

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大阪!!当選しました!!…ありがとうございます。
母と妹の3人で行ってきます。初の大阪遠征…むふふ。
でも東京が全滅ってゆうね…激戦だったんですかね…平日にも関わらず。
追加公演があると信じてますよ…ええ、来い!追加!!来い!先行当選!!運命の11日…

お話はちょっと進展しましたね。なんでこう、シリアスな方面に向かいたがるかなぁ~
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| 2014.10.09(Thu) 21:40:48 | | EDIT

ありがとうございます。

>バビコ さん
こんにちは!いつもコメントを残してくださってありがとうございます~!!!
こちらこそ、更新を楽しみにしていただいて、うれしいかぎりでございます♪
ですね、わたしもまさか女子絡みを書く日がやってこようとはww
昔のインタビュー見返してると、チャンミンさんがユノさんは相当モテる発言をしてて、なんだか
そんなチャンミンさんに胸キュンしちゃいましたw続きも頑張ります!!

ヤフー先行…応募しましたが、やっぱり厳しいでしょうね…そもそも8口で応募したのに全部落選とゆうセブン。8人に一人すら当選しないってことですかと衝撃を受けました…
FCでの応募が、唯一希望が持てる!!追加公演、共に願いましょう!!

YUKA | 2014.10.18(Sat) 07:52:19 | URL | EDIT
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YUKA

Author:YUKA
ある日突然、ユノに恋をしました。
気付けば、チャンミンに構って欲しいユノと、ユノの側にいてくれるチャンミンの図に、萌えまくっていました。腐り具合は、きっとこれから進行してゆくのでしょう。

東方神起ありがとう!

「東方神起 RISE AS GOD」
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素敵な画像をお借りしました。
ありがとうございます。