tare.gif 【タレソカ学園高校/11.】






「んなわけないだろ」


即答された。
……ですよね。
軽く期待してしまった自分が恨めしい。

でも、こんなユノだって、それこそネコがワンと鳴くくらい貴重だ。

いつだって、照れてしまうのは僕の方。
それを見て、微笑むのはいつもユノ。
今日は逆。


「顔、赤いですよ?」
「うるせー。こっち見んな」


あっち向けとばかりに僕の顔をぎゅーっと押してくる。
当然、この僕がこんな貴重なユノを見逃すなんてもったいないことをするはずもなく、
首の筋肉を総動員して抵抗した。


「照れてます?」
「普通だ。てか、お前が平然としすぎなんだって」
「平然として見えますか? 内心ではめちゃくちゃ動揺してますよ。
 ヒョンにキスされちゃった~って」
「したのはお前だろっ」
「あぁ、そうでした。動揺しすぎて間違えちゃいました」
「いやいや、わざとらしすぎるだろ。くわせものめ…」
「くわせものって、どこの時代の人ですか」
「お前が現代っ子すぎんだ」
「ヒョンだって一応現代っ子ですよ?」
「一応ってなんだよ」
「ヒョンよりピチピチで現代っ子な僕が、気を遣うのは当然ですね」
「……あー、そうですか…」


じとっと睨まれる。
でもピンクに染まった目元のせいで、可愛さしかアピールできていない。
しばらく視線が刺さっていたけれど、僕が動じないせいかユノはため息交じりに呟いた。


「ったく…お前ほどギャップの激しい奴はいねぇな。学園天使の異名は返上しとけ」


でた。学園天使。
やっぱり僕のことだったらしい。天使はユノのほうだと思うけれど。
でもこのあたりを詳しく掘り下げるとダメージを受けてしまいそうなので、ここは流しておこう。


「喜んで返上ますよ」

僕がそう言うと、ユノはそうしろとばかりに大きく頷き

「今後はタッ・ラッ・シッとでも名乗っとけ」

スタッカートを利かせて強調するもんだから、笑ってしまった。


「残念ながら、タラシっぷりはヒョンの足元にも及びません」
「俺は誰これ構わずこんなことしない」
「へぇ~。僕が誰これ構わずしているとでも?」
「……それは…」

うっ、と言葉に詰まるユノ。

「まだ、にぶちんを発揮するつもりですか?」
「…いや……」

たたみかけると、ユノはたじろいだ。

「僕の好きな人、誰だかもうわかってますよね?」
「………。」
「ヒョンが誰よりよく知ってるでしょ?」

ずいっと顔を近づけると、

      ~ッし、しらねぇよ」




そう言ってユノは、片頬を膨らませてぷいっとそっぽを向いてしまう。
今度は耳まで、赤く染まっていた。






…………なんですか、それは。
無駄に可愛いんですけど。


「僕へのテロか何かですか」


少女マンガに出てくる愛されヒロインとか、セクシーダイナマイトな女性とか、
男性に絶大な人気を誇るアイドルとか、そんなの目じゃないと思う。
したたかさのない可愛さとでもいうべきか。

現実のユノが、こんな技を会得していなくて、本当によかったと思う…。





「ッ!…おい、ちょっと……!?」

耳元からユノの非難めいた焦りの声が聞こえた。
両手が行き先を探すように僕の背後を彷徨う。


「何ですか?」

「急に何だよ…」

「……抱き締めてもいいですか?」

「いや、それ聞くの遅いだろ」

「そうですね。すみません」

「謝んなら放せ」

「それは難しいんじゃないですかね?」

「他人事みたいに言うんじゃねぇよ」

「だって、ヒョンが僕にこうさせるんですから」


首筋に顔を擦りつけるようにしてぎゅうっと力を込めた。
ユノの匂いがする。
これをフェロモンと呼ぶのなら、ハーメルンの笛吹き男が吹く笛よりも強力かもしれない。


そんなことを考えていたら、緊張していたユノの肩から、フッと力が抜けて
背後を彷徨っていた手が、僕の背中に落ち着いた。
そして、


「………甘えてんの?」


さっきまでの焦り具合はどこへやら。
ちょっと笑いを含んだ声が、余裕綽々にそんなことを僕に聞く。

「違います」

否定してはみたけれど、抱き締めているというより、堪らず抱きついているという表現の方が、正しい気もする。
これは甘えている部類に入るのだろうか。
ユノが小さく笑った。

「……だからなのかな…」

「?」

「さっきからずっとおかしいと思ってたんだよ」

「おかしい?」

「だってそうだろ。なんで俺はお前に…大人しくこんなことさせてんのか……」



たしかにそうだ。
よくよく考えてみれば、今の状況は僕だけの意思では起こり得ない。
いくら逃げ道を塞いでいるとはいえ、実力行使に出れば抜け出せないわけはないし、
ユノに触れた手だって、嫌なら払えばいい。不快なら突っぱねればいい。
キスだって、回避することはいくらでもできたはずだ。

なにより、清廉潔白を絵に描いたような人なのだから
それを汚すようなことは、何があっても許さないだろう。



でもユノは、ここにいる。
腕の中にいてくれる。

僕は顔を上げた。




      その答えをヒョンは知ってるんですか……?」

期待に声が震えてしまう。
悪いものであるわけがない。

ユノは曖昧に頷いた。



「ちゃんとお前と話したのは…今日が初めてだろ?」

「…そうですね」

「始業式の挨拶見て、意外としっかりした奴だと思ってたのに、
 じつは…ずけずけモノを言うし不遜だし…でも自分より俺のことばっか心配してて。
 …だからいい奴かと思ったらあんなことするし、俺をからかって遊んでんのかと思えば言葉の端々は真摯だし。
 お前とはそんなに親しい間柄でもないのに、なぜだか不快には感じなくて…」

「つまり?」

早くその答えが知りたくて先を急かすと、ユノは三日月みたいに目を細めた。


「つまりだな…、よくわかんないけど、たぶん俺は…」


続きは、とびっきり甘い声が引き継ぐ。





「お前のことが可愛いんだ」


ユノは自分の言葉にちょっと照れたようにはにかんだ。









………、うわ…。



「チャンミン?」


初めてだ。
そんな風に言われたの。


「おい」


これって、自惚れてもいいってこと?


「?」


……だめだ。
とりあえず、だめだ。






ユノから体を離してくるりと背を向ける。
もちろんユノの不審を買うのは当然で、

「どうした?」

回り込んで僕の顔を覗き込もうとするから
サッと向きを変えて、またユノに背中を向ける。
そしたら、


「……はは~ん。さては照れてんな?」


僕をからかう気満々な声。
ユノがどんな顔をしているかなんて、見なくてもわかる。


「…照れてません」
「じゃぁこっち向けよ」
「あ~風が気持ちいいですねぇ」
「そんな吹いてねぇし」
「さっ、戻りましょうか」
「………ぷっ」


僕が歩き出すと、ユノが笑いを堪えながら僕の後ろをついてきた。
でも、僕に追いつこうとするから、足を速めてそれを阻止する。


今はとてもじゃないけれど見せられない。
溶けかけのチョコレートみたいな顔をしているであろう自分が安易に想像できてしまったから。
そう簡単には元の形に戻せない。


そんなこんなで、お互いが更に歩く速度を上げることになり…




最終的には、

「僕を捕まえてごらん~」
「あはは」
「うふふ」

って恋人同士がお花畑でスキップしながらルンルンする羨ましいアレとは正反対の
夕日に向かって全力疾走する感じになってしまった。







で、
実はユノに謝らなければならない事がある。
先頭きって、結構な距離を走っておいてなんだけれど……



「ハァハァ…、チャンミンっ!どこ向かってんだっ」


そうなんです。
来た道を戻ってるはずなのに……
ごめんなさい、ヒョン。



全力で迷子です。











<1部>完..
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セカンドバージョンのMVご覧になりました!?(←聞くまでもないですよね)
はぁ…ユノヒョンはいつもナチュラルメイクでそれが好きだったけど、アイラインも…やっぱり好き。
何であんなに素敵なんだろう…ピンクのユルふわくっきりおめめ。リップバージョンもぜひともください。
チャンミンさんも恐ろしい美しさで…眩しくてたまりませんでした……息も絶え絶えでござります。

タレソカ学園のほうは、とりあえずひと区切り。
さてユノヒョンといい感じになったところで、やっとスタートラインに立った感です。長かった…
(お話の中ではまさかの1日しかたっていないのに!)
このあとが描きたくてウズウズしてたので、ふふ、楽しみです~♪
でも、書く期間が長すぎたせいで、文章のタッチがバラバラで読みづらかったですよね。申し訳ありません。
なるべく読みやすいよう心がけます。よろしければ引き続きお付き合いください(^^)

そして長々とすみません。
たまに「僕らの、」の1話から「タレソカ」の最新話まで一気読み&拍手をくださる方がいらっしゃって
…ぅおお!ってなってます(笑)
楽しんでいただけたのだなぁと嬉しく思っているのです。ありがとうございますー!(≧▽≦)
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コメント

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| 2014.03.09(Sun) 12:27:45 | | EDIT

続きを(^^)

よろしくお願いしますm(__)m
ユノヒョンの可愛いらしさが爆発してますね!
でも、立場の逆転を計ってますね♪
リアルミン様は正に学園天使ですねぇ(^-^)
フフ、学園内は大変な事になりそうですね!
無理のないペースでお願いします。
ちゃーんと待ってますからね!

スカイ | 2014.03.09(Sun) 19:16:03 | URL | EDIT

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| 2014.03.09(Sun) 23:25:06 | | EDIT

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| 2014.03.10(Mon) 23:56:21 | | EDIT

ありがとうございます。

>ゆうきさん
こんにちはー!いつもコメントありがとうございますん~♪
押せ押せチャミ様だってユノさんに甘いこと言われたらふにゃってなっちゃいますよねー(笑)
胸キュン万歳!!でも高校生なんて遠に昔の話なので、一緒に遠い思い出に浸らせてくださいw

スリスリ2nd!ベストジーにスト賞、めちゃウケたじゃないですか(笑)白シャツ&サスペンダー&ジーンズにユルフワヘアのユノが今回の衣装で一番のドンピシャでした!もう可愛すぎて死ぬかとw
白スーツもいいですけどね!あんな店があったら通うために死ぬ気で働いちゃうわ////
ダンスだけ集めたDVD!欲しいっ!めっちゃいいですね~♪映画で友情出演(?)で踊ってたダンスもアレが映画館で流れるのかと思うと……たくさんの人が腰砕けになればいいと願っていますv

4月からツアーだなんて…早くユノの生声が聞きたいっ!昔の曲は何が入ってくるのか…それも楽しみ♪

YUKA | 2014.03.19(Wed) 02:38:03 | URL | EDIT

ありがとうございます。

>スカイさん
こんばんは!またまたコメントありがとうございます~♪更新も待ってくださってWでありがとうございます!
ユノヒョンの可愛さはもうみんな知ってますが、チャミ様はもっと可愛いとこ知ってるんだろうなと
2人だけのヒミツ的なアレに萌え萌えしてます(≧▽≦)
チャミ様のリアル学園天使は、恐ろしくてまだ見れていないという…ごらんになりました!?
耐えられるかしら…。もはやホミンにしか対応できない脳になっているかもしれない…

YUKA | 2014.03.19(Wed) 02:42:00 | URL | EDIT

ありがとうございます。

>蒼い夜さん
こんばんは!コメントありがとうございます~♪相変わらず楽しみにしてくださているようで
嬉しい限りでございます♪
そうそう、二人はチャミさんのがんばりで距離が縮まりましたよ♪高校生のユノさんはまだ悪い男な顔は
できないみたいですので(笑)まだまだチャミ様にがんばっていただかなければ!ふふっ
迫られちゃうチャミ様よりイケイケなチャミ様のほうがお好きですかー?(*^ー^*)

YUKA | 2014.03.19(Wed) 02:46:06 | URL | EDIT

ありがとうございます。

>バビコさん
おお!大好きいただきました!!ありがとうございます♪
ここの2人を気に入っていただけたようで何よりです~★萌えとトキメキと妄想をお届けできれば
本望でございますっ!!
今後も楽しみにしてくださると嬉しいです(^^)またお待ちしていますー!

YUKA | 2014.03.19(Wed) 02:48:12 | URL | EDIT

拍手コメントありがとうございます。

>きょうこさん
こんばんは!コメントありがとうございます~!また遊びに来てくださって嬉しいですん♪
全力で迷子w あの後、きっと敷地の端っこの塀にぶつかるまで走り続け、別の意味で二人して顔が赤くなったに違いありません。それでもって大の字で寝転がり、さらなに親密度を深めたものと推察されます!

>お名前無記名さん
こんばんは!滅茶苦茶面白い!!素敵なほめ言葉いただきました!そんなにも楽しんでいただけたなんて
光栄の至りであります!!!ありがとうございます~♪
2部も始まったので、フフフ…さらに楽しんでいただけるように私も楽しんで書きます~!!
最近はリアル萌えが半端なくて、そっちに負けている気がしてなりませんが(笑)

>skyskyさん
こんばんは!コメントありがとうございます♪TREEを聞きながらですか!私も(?)聞きながら書いてますv
押せ押せGoGoなチャミ様お好きですか?私は何気にめっちゃ好きなのです♪ホミンも好きだけど
ミンホもトキメいちゃうのですよね♪ 二人ならどっちでもいいとも言いますがw
2部も楽しみに待っていただけるようにがんばります!また遊びにいらしてくださいねー!

YUKA | 2014.03.19(Wed) 03:03:10 | URL | EDIT
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プロフィール

YUKA

Author:YUKA
ある日突然、ユノに恋をしました。
気付けば、チャンミンに構って欲しいユノと、ユノの側にいてくれるチャンミンの図に、萌えまくっていました。腐り具合は、きっとこれから進行してゆくのでしょう。

東方神起ありがとう!

「東方神起 RISE AS GOD」
「東方神起 LIVE TOUR 2015 WITH」




素敵な画像をお借りしました。
ありがとうございます。