tare.gif 【タレソカ学園高校/10.】







至近距離まで近づいた僕に、反射的であろう、ユノは体を引いて2歩下がった。

だから僕は、ひらいた2歩分の距離を詰める。
そしたら僕に半歩遅れて、ユノが3歩下がった。



ここで初めてユノの顔に困惑の色が浮かぶ。
なんでこんな風に迫られているのか分からないって顔だ。



さらに3歩の距離を詰めると、ユノは4歩下がった。

そうして僕が8歩の距離を詰めたとき、ユノの背中は大きな木にぶつかっていた。














ユノの視線が素早く左右に動く。
まるで罠にかかったウサギみたいな仕草だ。

「もう、下がれませんね」

両手を幹にかけて腕の中に囲い、さらに足の間に膝を割り込ませると
ビックリマークとクエスチョンマークを同時に描いたような顔をするから、笑ってしまった。




「で、…」

下から覗き込むようにして首を傾げる。

「…誰が誰を好きなんですっけ?」

皿のように丸く開かれた瞳に、蠱惑的な笑みを浮かべた男が映った。


「チャンミン…?」


ユノは自問自答するかのように呟く。
僕が知らない人間のように見えるのかもしれない。


「なんですか?」


にっこりと笑みを浮かべてそれに応えると、形の良い眉がぎゅうっとしかめられる。


「何のつもりだ」


緊張を帯びた声音には責めるような響き。
僕らの間に流れる空気が、一気に険悪なものとなった。
とはいっても、主に、ユノの周りの空気が、ではあるが。


「先に質問したのは、僕ですよ」
「…質問?」
「僕が誰を好きですって?」

同じ質問を繰り返すと、数秒もたたないうちに

「……あ、そっか!」

ユノはすべてを悟ったかのようにポムと手を叩いた。

「口止めってゆうか…これはそういう意味なんだろ?」


その思考はズレたところに着地していた…。
思わず天を仰いでしまう。

たしかに、男に迫られるって、そんな場合もあるにはあるだろうけれど
僕が相手であっても、ユノ的には嫌がらせや脅しと同じレベルらしい。

泣いてもいいですか。

「誰にも言わないから。な?」

だから退けということなのだろうか。
終いには安心しろとばかりに、ぽんぽんと肩を叩かれた。



「…ほんっと、高校生のユノヒョンはにぶちんにも程がありますね」
「に、にぶちん?」
「サイアクです」
「……なんだよ、そこまで言うか」

ユノが口を尖らせた。

「僕は口止めしなければならないような失態は犯しません」

その尖った唇をつまんでやりたくなる。

「だいたい、僕を振る女子がいるとでも?」
「それはそうだな」

即、うんうんと頷かれてしまった。
ちょっとした冗談のつもりだったのに、さらっと誤解は解けたらしい。
言い訳より説得力のある冗談なんて、もはや冗談ですらない。

僕はちょっと微妙な気持ちになる。






「じゃぁ…これは…?」

ユノが不思議そうに呟いた。

「…何がしたいんだよ、お前」






僕に迫られている理由が口止めじゃないとしたら、他に何があるのか。
それを考えているらしく、ユノはこてんと右側に首を傾げる。

「なんだと思いますか?」
「質問を質問で返すんじゃねぇよ」
「じゃぁヒントをあげましょうか」
「じゃぁ、ってなんだ。…俺の話聞いてた?ヒントじゃなくて答えを言えって」
「それはダメです」
「何で?」
「考えてほしいから」
「何を?」
「……僕が誰を好きなのか」


そう告げた声は、思った以上に真摯な響きを持っていて、自分でもちょっと驚いてしまった。
ユノもそれを感じたようで、たっぷり10秒くらい僕の顔をじっと見つめる。
そして、


「何で俺にそんなこと考えさせんの?」


今度は左側にこてんと首を傾げた。
もっともな疑問だ。

「何でだと思いますか?」
「だから、質問を質問で返すなって」

ぷく、とユノの頬が膨らむ。
20代半ばの男がするにはザワつく仕草だけれど、欲目なのか…可愛くて頬が緩んでしまうのは、
今にはじまったことではない。


「…わかりました。じゃぁ教えてあげます」
「でもさ、俺が知ってどうすんの?」
「当事者ですから」
「ん? とうじ   っ」


ユノが言葉と一緒に息を呑んだ。
僕が頬に触れたからだろう。
特に理由なんてない。なんとなく、手が伸びてしまったのだ。

手の甲で感じる肌は、すべすべしていて気持ちいい。
掌を反すとそのまま包み込む。

ユノの口がポカンと開いた。
すがすがしいほどの驚きっぷりで笑ってしまう。

ふっくらとした唇を親指でなぞると、ゴチンとユノが勢いよく幹に後頭部をぶつけた。






「大丈夫ですか?」

「はっ、だいじょうぶじゃねぇよ…」

「大丈夫ですよ」

「…だいじょうぶじゃないっていってんだろ」

「はいはい。どの辺が大丈夫じゃないんですか?」

「…………おれが…」

「ぷ。…それはそうかもしれませんね」

「わらうな」

「はい、すみません」

「てか、ちかい…」

「知ってます」



鼻先がぶつかった。


顔を背けられるだろうか。
言葉で止められるだろうか。
グーで殴られるだろうか。

どれかだと思っていた。

だってユノにとっての僕は、慕ってくるただの後輩であり、
なにより恋愛対象ですらないと分かっていたから。

けれど、ユノはピクリとも動かなかった。
ただただ、その驚きに満ちた瞳いっぱいに、僕を映しているだけだ。

今のユノには僕しか見えていない。
頭のなかは、僕のことでいっぱいに違いない。


      今だけじゃなくて、ずっと、ずっと、そうであればいいと思う。





制止されないのをいいことに、唇で、唇に、ちょっとだけ触れてみた。

反応はない。
だからもう一度、今度は体温が伝わるくらい長く、触れてみた。

そしたら微かにユノの大きな黒目が揺れて…
奥二重の瞳がゆっくり瞬きをする。


僕は目だけで笑むと、もう一度唇を押しつけた。


「…、」


柔らかい唇を舌先でチロりと舐め、下唇を食んで、味わうように啄ばむ。
本当は、キスするつもりはなかった。


「…はぁ。」


でも、触れてしまえばもっと、ほしくなる。

頬に回していた手を首の後ろ側に滑らせると、
少しだけ顔を傾けて、引き寄せながら歯列の隙間から舌を……


「…ん?」


そこで、ユノが息をしていていないことに気が付いた。


「ヒョン?……ヒョ~ン」


顔の前でひらひらと手を振りながら声をかけてみると、ユノの瞳がまた揺れた。

そして僕に焦点が合ったとたん、サッと目が逸らされ
同時に両手が上がり、頬と唇を押さえる。

その手の下で、ユノの顔がかぁっと赤くなった。




     えっ?




僕はそれを、信じられない思いで見つめていた。




まさか…いや、そんなね。
ユノに限って、そんなことあるわけがない。

あるわけないよね?
だって、あのユノだもん。
ムカツクくらい女性の扱いに手慣れてるんだから。

いや…でも、目の前にいるのは20代のユノじゃない。
片手じゃ数えきれないくらい昔のユノ。




それならもしかして……
もしかする?



「…まさか、初めてですか?」



そう訊ねると、顔を押さえたままのユノと目が合った。








続く..

↓ランキング参加中です。楽しんで頂けましたらポチっと。励みになります!!
にほんブログ村 BL・GL・TLブログ 二次BL小説へ
にほんブログ村


相変わらずの漏れ神起♪幸せすぎる♪
ネタバレになりますが、お互いに似合う女性がどんな人かを語っている記事、読まれましたか?
チャンミンさんの言ってる女性、チャンミンさん、貴方のことではないですかーっ!ってツッコんじゃったよね(笑)
しかも、「ですよね?」ってユノさんを窺うのは、「僕がタイプ」という前置詞が
省略されていること間違いないと思われますw
もう~ニヤニヤしちゃったじゃないですかぁ。たいへんご馳走さまでした♪

投票&MVの回転、日々ユノチャミのことを想いながら、楽しんでおります!ル~ン♪
 
スポンサーサイト
コメント

フフ♪

やっぱり、この二人良いですねぇ!
リアルも漏れ漏れで、楽しいです(^-^)
続きも楽しみにしてます。
会話が素敵です。
強気で余裕綽々なチャンミンが好きです。

スカイ | 2014.03.03(Mon) 18:05:34 | URL | EDIT

ありがとうございます。

>スカイさん
こんばんは~!楽しみにしてくださってありがとうございます!!タレソカ学園もとりあえずひと段落。
会話を妄想するのが楽しくて…w素敵と言っていだけて嬉しい限りです(>▽<)
私も何気に強気で余裕綽綽チャミ様好きなんですよぅ♪結局ユノヒョンにデレてくれると尚お後がよろしいようで。

あと一週間で韓国の活動も終わるようですね。土日はリアル視聴しているのですが、ほぼ外出時に見ているので、ニヤニヤを抑えるのが大変で……最早あきらめて堂々とニヤつくことにしました(笑)←

YUKA | 2014.03.09(Sun) 01:26:07 | URL | EDIT

拍手コメントありがとうございます。

>きょうこさん
こんばんは!お久しぶりです~♪コメントありがとうございます。遊びに来てくださっていたのですねー!
ありがとうございます(^^)
ウチのお話は思い返せばシリアステイストが多いような…リアルに感化されて幸せ思考に向いているようです。
リアルの漏れっぷりは、全国のビギを発狂させてますよね!!ほんと、活動と一緒にWで幸せをくれて、ありがとうございますと、お礼を言いたくて仕方ありません!!

YUKA | 2014.03.09(Sun) 01:30:14 | URL | EDIT
コメントを投稿する
 
 
 
 
 
 
 
 
トラックバック

プロフィール

YUKA

Author:YUKA
ある日突然、ユノに恋をしました。
気付けば、チャンミンに構って欲しいユノと、ユノの側にいてくれるチャンミンの図に、萌えまくっていました。腐り具合は、きっとこれから進行してゆくのでしょう。

東方神起ありがとう!

「東方神起 RISE AS GOD」
「東方神起 LIVE TOUR 2015 WITH」




素敵な画像をお借りしました。
ありがとうございます。