tare.gif 【タレソカ学園高校/08.】






なんの前触れもなく、いきなり現れたユノ。
全員の動きが氷の彫刻みたいにそのままの形で固まっていた。


“なんで、この人がここに…?”


全員がそう思ったに間違いない。
そんな状況で最初に口を開いたのはユノ、そして我に返ったクロス君と僕。3人同時だった。




「お前ら…」
「センパ…」
「アンタ、何やってるんですかっ!?」



声が重なる。
けれど、森の中に響いたのは僕の声だけ。
ユノもクロス君も、驚いたようにぽかんと口を開けてこっちを見ていた。

その間に大股でクロス君の横をすり抜ける。
肩がぶつかったけれどそんなことは気にもならない。
ユノの腕を掴んで彼らから距離をとり、ユノへの視線は僕の体で遮った。



「ちょっと、チャンミン?」

戸惑う声。



心のどこかで〝もしかして″なんて期待していたくせに。
僕がいつまでたっても生徒会に顔を出さないと、面倒見のいいユノのことだ。
心配して戻ってきてくれるかもって。
なのに、それをすっかり忘れて、喧嘩の真似事を始めてしまうなんて…


「なんのつもりですか」
「なんのって…」
「あんなとこに出てくるなんて、ほんっと、もー信じられません」
「…いや、お前、殴られそうだったから…」
「殴られるつもりだったんです」
「はぁ?何でだよ」

ユノは意味が分からないといった様子で首を傾げた。


別に大切だったわけじゃないけれど、僕につけられた総代っていう肩書きは忘れていない。
その僕が殴る蹴るの喧嘩なんかしたら、確実に生徒会に迷惑がかかる。
つまりユノに迷惑をかけるということだ。
それを最小限にするために、先に殴られる必要があった。あくまで被害者でいなければならなかった。
でも、そんなことはユノがここにいる時点で、もう何の意味もない。
だから、

「ヒョンには関係ありません。余計なお世話です」

きっぱりと言い切った。

僕とクロス君の仲裁に入ってくれようとしたユノの好意を真っ向から否定したのだから
不快な感情を持たれても仕方がない。
案の定、形の良い眉がひそめられたけれど、そんなことはどうでもよかった。
それ以上に腹が立っていたから。
ユノの行動にも、自分の浅はかさにも。


「お前、そんな態度とってるから絡まれんだろ?」
「そうですね。でも僕は今、アナタに怒ってるんです」
「…俺?なんで?」
「正義感かざすのもいいですけど、殴られたらどうするんですか」
「………は?」

自分にそんなことが起こるわけないとでも思っているのか、まったくピンときていない顔をする。

「は、じゃないですよ。殴られるならまだしも、刃物とか持ってたら?」
「いやいや…」
「考えすぎだなんて頭の悪いこと言うのはやめてください」
「けどな」
「僕のことはどうでもいいんです。自分第一で行動してください」
「でも」
「でもじゃないです。それに、人を呼ぶとかあるでしょう?ヒョンが助けに入る以外の選択をすべきです」
「俺、」
「いいえ、だめです。生徒会長なんていう肩書きではどうにもならないこともあるんです」
「けど」
「だめです。格闘技や護身術に自信があってもダメなものはダメです」
「チャンミ…」
「さっきのヒョンの行動は100%間違いです」
「……」
「わかりましたか?」


最後に指を突きつけて念を押しておく。
そしたらユノは笑いを堪えるように下唇を噛んで、なんともいえない顔をした。


「……真面目に言ってるんですけど」
「わかってる、わかってるって」
「絶対、分かってないでしょ!」
「……チャンミン、お前さ…」
「なんですか」
「エスパー?」
「…は?」
「いや、俺の考えてること、何でも分かってるみたいだから」
「2割くらいはまったく理解できませんけどね」


僕がそう言って肩をすくめると、ユノはおもむろに僕の肩に腕をかける。
そして、そこに顔を隠すように埋め、肩を震わせた。


「……笑ってるの、バレてないとでも?」


本当に…本気で危ないことに首を突っ込んでほしくないと思っているのに!
まったく取り合ってくれない様子に、めちゃくちゃ腹が立った。


「…もういいです」
「怒るなって」
「怒らせたのはユノヒョンですけど」
「そうだな、ごめん。お前の言いたことはわかったから」
「……ほんとですか?」
「ああ。俺のこと心配してんだろ?」


そう言って顔を上げたユノがあまりに近くて…そしてあまりに優しくて甘い顔をしていたから…
不謹慎にもドキリとしてしまう。
腹を立てていたはずなのに。
傷ついていたはずなのに。
その気持ちが小さくしぼんでゆく。


「…、えっと、それはそうですけど、そうゆう事じゃなくて…」

今度はユノが僕を遮った。

「わかってる。でもここは俺に任せとけよ。な?」


僕が黙ったことを了解ととったのだろう。
僕の体をくるりと回してクロス君達に向き直らせると、肩にガシッと腕を回して5人をぐるりと見渡した。
そして、僕の方に自分の頭を傾ける。頬にユノの柔らかな毛先が、触れた。

 

「お前ら、チャンミンに用事あるんだっけ?」



突然の展開で完全に置いてけぼりにされていた5人だったけれど、
ビクリと肩を揺らして、全員が一様に明らかな動揺と共に視線を散らせる。

今ユノがどんな顔をしているのか…想像がついた。
普段から穏やかな雰囲気を纏っている人だから…正直、そのベールがなくなるとめちゃめちゃコワい。

…今の5人の気持ちが手に取るように分かってしまう僕だった…

学園内でクロス君とすれ違うことがあっても、絡まれることはないだろう。
断言できる。


同時にユノの影響力も認識した。
ちょっと見くびっていたかもしれない。
クロス君達にとってのユノは、憧れの先輩で生徒会長で、閉鎖された学園の中では絶対の存在なのだ。
喧嘩を売ろうなんて考えすら、浮かばないに違いない。

僕に向けていた敵意を完全に封印したクロス君たちは、風の如き速さでカバンを回収して、いなくなった。






「な、大丈夫だったろ?」

彼らの後姿を見送ったユノは、僕の顔を覗き込んで悪戯っぽくパチンと片目をつむる。

「はい。ありがとうございます…」

素直にお礼を口にした。
ユノは急にしおらしくなった僕の態度が意外だったのか一瞬目を大きく見開く。
でもすぐに、顔をくしゃっと崩して、いい子いい子するみたいに僕の頭を撫でた。





      ユノだ。
      僕の好きなユノがいる。





いつの間にか僕を侵食していた闇は消えていて、
僕の心は、頭上に広がる空と同じ、淡くて綺麗で穏やかな色に染まっていた。










続く



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チャミ様は颯爽と現れたユノにキュンとするんじゃなくて、むしろ巻き込むことを嫌うんじゃないかなぁ。

ユノが降りた車のドアを閉めてあげるチャミ様。
スタッフがさした傘を、ユノにさしてあげてと促し、自分は濡れちゃうチャミ様。
いつもユノを立てて、フォローまで完璧なチャミ様。
「ユノがいてくれたから…」と感謝をするユノヒョン大好きなチャミ様。

そんなチャミ様に私が胸キュんですよ…!!
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コメント

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| 2014.01.07(Tue) 21:15:08 | | EDIT

YUKAさん、こんばんは♪更新ありがとうございます(*≧∀≦*)

昨日は早々の御訂正ありがとうございました♪焦らせちゃいましたよね…スミマセンデシタ(´∇`)私もコメント書かせていただく中で誤字脱字たくさんあるのでお恥ずかしいんですが…

さてさてチャミとユノの掛け合い、ニヤニヤしながら読んじゃいました♪
ツンな言葉を投げかけつつもユノへの愛が溢れてだだ漏れちゃってるチャミ君が、このところのリアル神起を彷彿とさせますね(//∇//)
チャミの心配を軽々と超えて場を納めるユノも。やっぱりキングユノですね!
怒ったチャンミンも可愛いなってこれまた愛情だだ漏れで…ありがとうございました。ごちそうさまでした。

夢の中でも現実世界でもやっぱり二人は惹かれあって結ばれる運命なんですよね♪YUKAさんの書かれるお話、すご~く萌え萌えします。次回更新も楽しみにしています!!

それではまた~(´∇`)





あやっち | 2014.01.07(Tue) 23:29:20 | URL | EDIT

ありがとうございます。

>ゆうきさん
明けましておめでとうございます!いつもありがとうございます♪頂いている素敵なお言葉分の感謝をお返しできるよう頑張ります…!!≧▽≦
そうなのですよ、甘さが足りないタレ学…おっしゃるとおり、リアルのほうが断然甘~い!!
チャンミンさんのユノヒョンらぶらぶ発言…公共の電波にたくさん乗せてくださってホミンペンは発狂の連続でしたよね(笑)。Tenのビギスト…ユノの声で何度もビギスト聞けて…トンペンでよかったて思いましたよぅ!!T_T somethingのMV再生100回リストを流し続けますYO★
チケは東京ドーム頂きました。でも横アリ…行きたいので神頼みです。トン活、忙しくなるように我々に神のご加護を…!!!

YUKA | 2014.01.15(Wed) 02:31:52 | URL | EDIT

ありがとうございます。

>あやっちさん
こんばんは!お話楽しんでいただけたようで嬉しいです~♪ いつもありがとうございます!!!
頂くコメントに誤字脱字があってもむしろ、それだけテンション上がってくださったのかな!?という私のテンションも上がる要因になるだけのことなのですよ♪フフフ…

私の萌えをお話に詰め込んでいるので、共感して頂けると、小躍りしながらキィをタイプするという離れ業をやってのけてしまいますよ(笑)これからどんどんイチャコラしてもらいたいと作者が願っているので、2人がそっちの方向に進展してくれるものと私も期待しています!
でもユノさんは素なのかわざとなのか…にぶちんを発揮するからな~…チャンミンさんにかかっている!!

このところのリアル神起…ほんといいですよね~もう、頬が緩みっぱなしで、幸せです!!
特にチャンミンさんから行く感じ!!行動、言葉の数々…もうたまりません…キャッ>▽<

YUKA | 2014.01.15(Wed) 02:51:28 | URL | EDIT
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Author:YUKA
ある日突然、ユノに恋をしました。
気付けば、チャンミンに構って欲しいユノと、ユノの側にいてくれるチャンミンの図に、萌えまくっていました。腐り具合は、きっとこれから進行してゆくのでしょう。

東方神起ありがとう!

「東方神起 RISE AS GOD」
「東方神起 LIVE TOUR 2015 WITH」




素敵な画像をお借りしました。
ありがとうございます。