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誰かが言っていた。

“現状維持は後退にしかならない”


進んでも縮まらない距離をゼロにするために僕は、
ユノに手を伸ばして、叫ぶことを選んだ。











     【僕らの、/10-2.】











ベッドから飛び降りて、バン!と勢いよく扉を開け放つ。
その音に、びっくりしてこっちを向いたユノと目が合った。


今日もユノは同じ位置に座っている。
大きめの窓に一番近い、ソファーの端っこ。
暖かい光をたっぷり浴びることのできるあの場所で、新聞を読むのがお気に入りらしい。
寝癖もついたままだし、普段と同じ、なんら変わらない光景。

変わったのは、僕の心境だけ。


ドスドスと音を立ててユノの前まで行くと、新聞を取り上げてポイっと床に捨てた。
宙を舞うでもなく、パサっと音を立てて床に落ちたそれをユノはしばらく見つめていたけれど

「……怒ってる…?」

困惑した様子で僕を見上げた。
僕はユノを見下ろす位置から強い口調で切り出す。

「そうですね。僕は今、死ぬほどムカついています」

本当は苛立っているわけでも、怒っているわけでもない。
そういうことにしないと、…みっともなく声が震えてしまいそうだったから。

「なんでか分かりますか?」
「……」

そう問うと、ユノの視線がゆっくり左右に揺れた。

きっとわかっている。
なかったことにするのが最良の選択なのに、なぜ僕が否とするのか
それを考えているのかもしれない。

唇が動き、何かを言いかけたようだったけれど、待つことなく僕は一気にまくしたてた。

「いきなりあんなことしたのは僕が悪かったって思います。
 忘れろって言った言葉の意味も、十分理解しています。
 でも、やっぱり…忘れろなんて、ヒドイです。
 僕が手放しに何でも受け入れると思ったら大間違いですよ。
 たしかに今までの僕なら、ユノヒョンがなかったことにしたいというのなら、
 その通りにしてたと思います。でも、今の僕にはできません。
 だから、ユノヒョンの気持ちを汲むのはやめました。主張することにします。
 僕は、」

途中で言葉が途切れそうになる。
心の内を晒すことへの迷いか恐怖か。

それでも、なんとか瞳に力を込めて、僕は言った。


「ユノヒョンが好きだから、」



……しかし。
あまりに頼りなく響いた自分の声に驚いて、思わず続きを呑み込んでしまう。

“なかったことにしないでください”

そう言おうと思っていたのに。
それから、昨日のこと、これからのことを向き合って話し合うつもりだったのに。

こんなんじゃ、構ってほしい、無視しないでほしい、愛がほしいと
切ない声で同情を買おうとしているようなものだ。

もっと毅然とした態度で言わないと!

そう思って試みるも、開こうとした唇すら震えていることに、今更気付く。


僕は……僕は、怖いのだ。
縮まらない距離をなんとかしたいと思っている反面、
気持ちを伝えきった結果、縮まるどころか拡がってしまったらどうしようって…
そんな不安に負けてしまう自分の心が、どうしようもなく情けないもののように思えてしまった。


急に鼻の奥がツンと痺れてくる。


悔しさなのか。
腹立たしさなのか。
悲しさなのか。
何なのか…


「…、っ」

視界が潤む。

涙というやつは、こんなときにばかりどんどん溢れてきて僕を困らせるのだから
本当にサイアクだ。

泣きたくなんかない。
それなのに意思の力ではどうすることもできなくて…ぽたりと大きな粒が床に落ちていった。




このとき、たぶん…強がっていた気持ちとか、僕を縛っていた理屈とか、そんなものが全部
涙といっしょに流れ落ちてしまったのだろう。

そうじゃないと、自分の行動に説明がつけられない。

僕は、小さな子供がするみたいに、めいっぱいユノに両手を伸ばして、




「抱きしめてくださぃ…」




そう口にしていたのだから。

溢れてくる涙でユノがどんな顔をしていたのか分からなかったけれど、
言い終わらないうちに、力いっぱいの腕に包み込まれた。


その瞬間、僕はこれが欲しかったのだと気付く。


この温かさを手放したくない。
たとえ、ユノの意思で与えられる温かさじゃないとしても。

僕は、ユノのシャツをぎゅうっと握った。










「チャンミン…」


何度となく僕の名前を呼んできた声。
その優しくて穏やかな声で「ごめんな」って言うのだろう。
抱きしめて、頭を撫でて、背中をさすって、急に泣き出した僕を宥める。

それで、終わり。

伸ばした手が届かなくても、叫んだ声を聞いてもらえなくとも
ユノに渡した僕の気持ちはもうユノのものだから。
それをどう扱おうとユノの自由だから。

その結果が、何事もなかったかのような日常を続けていくことであったとしても
ぜんぶぜんぶ、受け入れられる、そう思っていたのに…

…だめみたいだ。

次にユノから発せられるであろう言葉が、怖くて仕方がない。





しかし、ユノが口にしたのは謝罪ではなく、
僕にとっては信じがたい言葉だった。





「お前のこと愛してるよ」





その言葉が脳に届くまで、だいぶ時間を要したように思う。
そして生まれたのは、嬉しさでも感動でもなく、鈍くて重たい痛みだった。


“弟なんだから”


僕には、そう聞こえた。







続く



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オトコマエなチャミ様を頂いたあとは、甘えるチャミ様が欲しくなるっ!!

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コメント

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| 2013.10.27(Sun) 21:54:05 | | EDIT

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| 2013.10.27(Sun) 22:50:37 | | EDIT

ありがとうございます。

>蒼** さん
こんにちは!チャンミンへの応援ありがとうございます~!
私はチャンミンさんをがんばらせすぎる傾向があるようで、そのうち怒られちゃそうです(笑)
ユノさえそう、素直に言葉にしてくれたらすべて解決なのに!
二人の幸せにはユノの告白が不可欠ですよね!!

YUKA | 2013.11.01(Fri) 18:01:29 | URL | EDIT

ありがとうございます。

>あ*** さん
こんにちは!こちらこそ、コメントありがとうございます♪
そうなんです、チャンミンがんばりました…気持ちを伝えるって、受け止めるって、ほんとうに難しい。
なかなか思い通りにはいかないことが多いですよね。おっしゃるとおり、二人にたくさんの
幸せな瞬間が訪れることを心底願います。うちのふたりもきっと幸せになりますよ!!

YUKA | 2013.11.01(Fri) 18:03:40 | URL | EDIT

拍手コメントありがとうございます。

>泣****さん
拍手ありがとうございます~!泣ける!とか嬉しいお言葉、ありがとうございます。
日本では愛してるって異和感があるけれど、ユノが言うとしっくるきちゃいます。
チャンミンが思いきって行動してくれたので、ユノの告白もちゃんと伝わればいいですよね。
だがしかし、チャンミンさんはまだ信じられないようなので、次はユノさんにがんばってもらわねば!

YUKA | 2013.11.01(Fri) 18:14:40 | URL | EDIT

おじゃまします♪

あしあとから何度かこちらにお邪魔してたんですが、入り口がわかんなくて看板だけかと思ってました(←あほ)
小説書いてらっしゃったんですね Σ(゚Д゚)
カテゴリ見て、記事があるのに気づき一気に読ませていただきました♪
とても面白くて、仕事するの忘れてこんな時間ww
次のお話もまた読ませていただきますね(〃▽〃)

りこねぇ | 2014.05.31(Sat) 15:19:00 | URL | EDIT

ありがとうございます。

>りこねぇさん
こんばんは!コメントありがとうございます!こちらの設定が変わっていたみたいで、認証制になっていました。失礼いたしました。
小説も読んでくださったみたいで…なんだかすみません…。りこねぇさんに読んでいただくとなんだか恐縮すぎて…(笑)
私も自分の中で2人の性格はこうだというのがあって、そこから恐ろしく外れたキャラ設定のお話は苦手なので、お気持ち分かります~><
でも楽しんでいただけたようで、よかったです!←ひと安心

YUKA | 2014.06.01(Sun) 19:17:06 | URL | EDIT
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YUKA

Author:YUKA
ある日突然、ユノに恋をしました。
気付けば、チャンミンに構って欲しいユノと、ユノの側にいてくれるチャンミンの図に、萌えまくっていました。腐り具合は、きっとこれから進行してゆくのでしょう。

東方神起ありがとう!

「東方神起 RISE AS GOD」
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素敵な画像をお借りしました。
ありがとうございます。
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