一歩進んだら、一歩分遠くなる。
三歩進んでも、三歩分また遠くなる。

進んでも縮まらない、それが僕らの関係。












     【僕らの、/10-1.】












目が覚めたらユノの腕の中に僕がいた。

…って言うと聞こえはいいけれど、
別の表現で言ってみれば、完全なる抱き枕状態。
ユノの半身が僕に覆いかぶさっていた。

重い…
いや、いいんですけどね。

にしても、昨晩こんな状態で寝たっけ?

360倍速くらいで昨日の出来事を再生してみても
僕が、ユノを腕に抱いて眠ったところで終了していた。


とりあえず僕に巻きついている腕をそっと持ち上げて体を起こし、
同じように巻きついていた足から自分の足を引きぬく。

身動きできるようになった体をもう一度布団のなかに戻して
自分の腕を枕に、ユノの寝顔を見つめた。


そして呟く。


「もっと、楽観主義でいたかったです。そしたら…」


今の気分は幸せいっぱいなものだったはずなのに。
手を伸ばせば抱きしめられるし、いつでもキスできる距離にユノがいるのだから。

現状をそのまま甘受しておけばいいものを
マイナスの方向に思考が傾いてしまう自分が嫌になる。










     ジリリリリ!!


7時を知らせる音に驚いて、ビクっと肩が揺れた。

ホントに毎朝心臓に悪い。
ユノの向こうにある目ざまし時計に手を伸ばして、その仕事を終わらせた。

録音機能付きがあったなら、絶対、もう速攻で買う。
ユノを言いくるめて、おはようメッセージを入れてもらおう。


「……チャンミナ…はょ…」

そうそう、こんな風にちょと掠れた色っぽい声で名前を…
って、ユノがうっすら目を開けて僕を見上げていた。
胸中が反映されたかのようなタイミングで、思わず“録音”の2文字が頭を占める。

思考がそっちに持っていかれすぎていたせいか、咄嗟に返した挨拶は

「おっは、ようございます」

変なところにアクセントがついてしまった。
そしたらユノはちょっと考えるそぶりを見せて

「…おっはー?どっかで聞いたことある…」

あくびをしながら、特に意味のないポイントを真面目に返してきた。

今朝も…ユノはユノだった。

僕は何を深刻に考えていたんだろうって、ちょっと心が軽くなる。




「さっ、起きますか…ってヒョン?」

体を起こした僕とは正反対に、ユノは布団がめくれて入ってくる隙間風を塞ぐように
掛け布団を引っ張って空気の入り口を閉じようとしていた。

「何してますか…」
「…埋めてる」

どう見ても起きる体勢ではない。まだまだ布団の気持ちよさを楽しもうという構えだ。
でもその行動がなんだか可愛くて、頬が緩んでしまう。

「昨日、エアコンをセットしといたので、部屋だってあったかいですよ」

事実、パジャマ1枚しか着ていない僕でも、寒さは感じない。
布団から抜け出しても苦痛はないはずだ。

「…ん~でも、あと5分…」

鼻が隠れるくらいの位置まですっぽりと自分を埋めることに成功したユノは
時間の延長を求めてきた。

まぁ、そんなにギリギリの時間ではないからいいけれど、

「ほんとに5分で起きるんですか?」

それが問題。
疑っている僕に、ユノは

「…オトコニニゴンハナイ」

一拍遅れての、棒読み回答をよこした。

絶対起きないな…

今ですら、ユノのまばたきは、目を閉じている時間のほうが長いというのに。
あと1分もすれば、二度寝に突入するだろう。

「よく眠れなかったんですか?」
「……」

そう言った僕に、ユノはチラリと目を向けたけれど、何も答えなかった。

微妙な空気の変化に戸惑う。
昨日の事を揶揄したように聞こえてしまったのだろうか。

僕の中で急速に大きくなる不安。

ユノは布団の誘惑なんかなかったかのような勢いで体を起こすと
こっちを見ずにくしゃりと僕の頭を撫でて、背を向けた。

そして、


「忘れとけ」


短くそれだけ言うと、ベッドから降りて寝室から出て行く。
ユノが起きてから、5分とたっていなかった。










…喪失感とはこのことを言うのだろう。
なんだか気が抜けてしまって…僕はベッドに倒れ込んだ。

ぼんやりと天井を見上げる。

いずれこうなることは、わかっていた。
暗闇でユノのぬくもりを抱いたときも、今朝目が覚めた瞬間にだって。

そのせいか、思っていたよりショックは大きくなかった。



再始動したばかりの僕らには、山ほどの取材やインタビュー、ラジオ、トーク番組が予定されている。
色恋沙汰の話題も出るだろう。

清廉潔白を貫いてきたユノだから
嘘をつかなければならないようなことはしない。
誤解を招く行動もとらないし、自分を応援してくれる人たちを悲しませるようなこともしない。

だからこそ、昨日の僕の行動が行き過ぎたものであったことを、十分に自覚していた。

ユノが「忘れろ」と言うのも当然のことなのだ。
ものわかりのいい良い子な僕は、それを受け入れて、何もなかったことにして、
これからもこの喪失感を繰り返してゆくのだろう。



けれど。

もう一人の、ユノが好きだと叫ぶ僕が
「それを受け入れてもいいの?」と疑問を投げかける。



僕はおもむろに天井に向かって手をかざした。
これは、ユノに触れた手。

指先で唇に触れる。
これは、ユノに重ねた唇。

掌を胸に当てて目を閉じる。
いつでも正直な心臓。

そして、思い浮かべる。
ユノのこと。


忘れることなんてできない。
なかったことになんかしたくない。

今や僕を構成するのは、頭のてっぺんから指の先まで、ユノへの想いなのだから。


「…いいわけがないだろ?」


そう。
何もせず、ただ受け入れていいわけがない。

ならば、僕のすべきことは、ひとつだけ。
体を起こして、ドアの向こうを見つめた。







続く


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何も考えず幸せを甘受しとけばいいのになぁ…
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コメント

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| 2013.10.18(Fri) 08:39:41 | | EDIT

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| 2013.10.19(Sat) 01:13:02 | | EDIT

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| 2013.10.19(Sat) 08:44:10 | | EDIT

ありがとうございます。

>m******* さん
こちらこそ、いつもありがとうございました。
にしても…布団の隙間じゃなくて、心の隙間!もう、見た瞬間吹き出してしましました!
一人きりのときで良かった…(笑)ええ、そりゃもう、その通りですよね。埋めていただきましょう。
チャミ様を応援してあげてください!チャミ様にすべては託された!

YUKA | 2013.10.20(Sun) 20:40:38 | URL | EDIT

ありがとうございます。

>あ*** さん
はじめまして!いらっしゃいませ~(^^)コメントありがとうございます。
二人のお話を書きながら、読みにくいかなとか、想像しづらいかなとか、2人が幸せになれるかなとか
色々考えてしまいがちなので、そんな風に言っていただけると、
ちゃんと文章で伝えられているんだなって…安心しました。引き続きお届けできるようがんばります!

YUKA | 2013.10.20(Sun) 20:48:27 | URL | EDIT

ありがとうございます。

>蒼**さん
こんにちは!嬉しいのはこちらですよ~!!ありがとうございます(>▽<)
いろいろ想像してくださって、書いている身としては、そんな風に脳内で2人を動かしていただけるとが
とっても嬉しいですし、本望なのですっ!次回もぜひたくさん想像してあげてください♪
…って、シリアスめのお話が多いので妄想からのしょんぼりになっちゃいますかね(笑)

YUKA | 2013.10.20(Sun) 20:57:35 | URL | EDIT

拍手コメントありがとうございます。

>ゆ***さん
こんにちは!チャンミンへの応援ありがとうございます!!
うちの二人の関係は…基本チャンミンががんばってますよねぇ。
それは変わらない気がするので引き続き応援してあげてください(笑)
それにしても男2人がイチャコラして可愛いってホミンちゃんの凄さを思い知りますよね♪

YUKA | 2013.10.21(Mon) 18:31:28 | URL | EDIT
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プロフィール

YUKA

Author:YUKA
ある日突然、ユノに恋をしました。
気付けば、チャンミンに構って欲しいユノと、ユノの側にいてくれるチャンミンの図に、萌えまくっていました。腐り具合は、きっとこれから進行してゆくのでしょう。

東方神起ありがとう!

「東方神起 RISE AS GOD」
「東方神起 LIVE TOUR 2015 WITH」




素敵な画像をお借りしました。
ありがとうございます。