最近、ユノはちょっと変わったように思う。


といっても、
愚痴をこぼすわけじゃない。
不安を吐露するわけじゃない。

ましてや、なぐさめてと主張するわけでもない。



ただただ、何をするわけでもなく、僕のそばで過ごすんだ。











     【僕らの、/07-1.】











「ただいま」

0時をとっくに過ぎているから、小さく呟く。

韓国でのプロモーションが始まってから、家に帰れればいいほう、そんな生活が続いていた。
ホテルでもいいのだけれど、わざわざ家に帰ってくるのは、二人っきりの空間が恋しくなるから。
それだけの理由だ。

玄関には、脱ぎっぱなしにされた靴。
相変わらず、揃えるという作業をしない。
仕事ではあんなにきっちりしているというのに…
自分の靴と併せて並べる。
それからリビングへと急いだ。


ドアを開ける。


ゲームらしきBGMが聞こえると同時に、ソファーからはみ出している長い脚が目に入った。



…いた。



自然と頬が緩む。
一人きりの現場で頻発している、最近の自覚症状だ。

場所がどこであれ、しんどい時はユノの顔を思い浮かべる。
ユノも頑張っているんだから、僕も頑張ろうと思えるから。
けれど、意識の上にユノがぴょこんと登場したとん、顔が…とりあえずそうなる。
スタッフに「何かいいことありました?」って聞かれること、数知れず。

一人でにやけている姿なんて、客観的に見たら相当イタい気がするので
口元を手で塞いで俯くことにした。

そしたら今度は「ご気分悪いですか?」と心配される始末。

じゃぁ、どうすればいいのか。
考えに考えぬいた結果、隠すのをやめた。

頬が緩むのを我慢するからニヤけた顔になるのだ。
だったら心のまま思いっきりスマイルを振りまけばいい。
一応アイドルなんだから、可笑しくはないはずだ。


そうして、問題は解決した。








「ヒョン、帰り…」

ました、という言葉はのみ込んだ。
寝ているのが分かったからだ。

ソファーに近づいてみれば、手にはプレイ中のゲーム機。
指先にかろうじて引っかかっている程度。
落ちたら派手な音を立てそうだったから、そうっと手から取り上げた。


ゲーム機を閉じようと思ったら、キャプションが目に入る。

チャンミンの攻撃。

どうやらボスらしきモンスターとの戦いの最中。
こんな緊迫した画面とBGMでよく寝落ちたものだ。

呆れてユノを見やるが、すぐ画面に目を戻す。


勇者なるキャラクターの名前が『チャンミン』。
ほかのキャラクターは、
戦士『ユンホ』
僧侶『チャンミナ』
僧侶『チャンドラ』



「……。」

パーティーは打撃派。
そして僕の名前がつけられたキャラクターが3人もいるあたり、ネーミングが適当すぎる。
急に笑いが込み上がってきて、我慢できずにぷっと吹き出してしまった。

予想以上に大きく響く。
しまった!と思ったらギシっとソファーの軋む音がした。


「すみません、起こしちゃいましたね」

「チャンミナ…?おかえり」
「あ、はい、ただいま」


ユノはむっくり起き上がると、ソファーを占領していた足をのけて、スペースを作る。
それから僕を見上げた。

ユノの頬は、うつぶせていたせいで赤くなっている。
子どもみたいだ。
なんで僕が笑っているのか分かっていないユノは、よだれだと思ったのか
口元をごしごしとぬぐう。
それから、どう?とでもいうように再び僕を見上げた。

「違いますよ。ほっぺです。赤くなってますよ」
「ん?」

隣に腰を下ろすと手を伸ばして指先だけで触れる。
そのとき、

「あっ!」

ユノが急に声を上げた。
僕はビクっとして指をひっこめる。

触れられたことが嫌だったのかという考えが過ぎったが、違ったようだ。
ユノは僕の手からゲーム機を奪っていった。

そして、パタンと閉じる。

「ボス戦でしたよね。いいんですか?」
「…いい」

ユノは反射的に奪ってしまったのであろうゲーム機を手の中でもてあましていたが
ソファーとクッションの間に置いた。

行動に違和感。何だろう。
ゲームを見られたくなかった?


表情から探ろうとしている視線に気付いてか
顔を見られないように、僕を背もたれ代わりにして座りなおした。


もしかして、キャラクターの名前?

そうだとしたら、
単に考えるのが面倒だったという理由ではないのだろう。

ということは、勇者、僧侶が僕の名前であることに意味があるとか。


…そこで、思い浮かぶ。


最強の名を欲しいままにする、頼れる勇者はチャンミンで、
力のみを武器に、真っ向から戦う戦士はユノで、
パーティのスキルを高め、補い、癒すのがチャンミナとチャンドラ。

つまり、ユノにとっての僕が、そういうことなのだろうか…
けれど、

「…いや、うますぎるな」

そんな都合のいい解釈はないと、浮かんだ考えを打ち消す。
きっと、単に名前を考えるのが面倒だっただけだ。
大雑把なユノだもの。

僕の独り言に不思議そうな顔をしたユノがチラリと振り返るが
何でもありませんと手をふる。
ユノはつっこむでもなく、元の体勢に戻った。





しばらく静かな時間が流れる。

別に会話がなくても構わない。

ただただ体温の伝わる距離にいる。

こんな時間が、僕にも、きっとユノにも、必要なんだ。








続く


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ユノの側にチャンミンがいてくれるだけで、
なぜか私が安心するんだもの。

ユノだったら、尚更だと思うのよ。

うん。
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プロフィール

YUKA

Author:YUKA
ある日突然、ユノに恋をしました。
気付けば、チャンミンに構って欲しいユノと、ユノの側にいてくれるチャンミンの図に、萌えまくっていました。腐り具合は、きっとこれから進行してゆくのでしょう。

東方神起ありがとう!

「東方神起 RISE AS GOD」
「東方神起 LIVE TOUR 2015 WITH」




素敵な画像をお借りしました。
ありがとうございます。