ユノの問いかけがもたらした衝撃が小さかった理由は、すぐに分かった。
あまりにすんなりと、僕の心が認めてしまったから。





      ユノが好き。




けれど。
僕は……僕は、頷かなかった。

ゆっくり、首を左右にふった。










     【僕らの、/05-2.】









物音ひとつしない、静かな室内。
鼓動だけが響いているような感覚。


僕の答えにユノは、
残念そうな顔をするわけでもなく、
意外そうな顔をするわけでもなく、

変わらず、静かな笑みをたたてていた。


だから無性に不安になって、ユノを呼ぶ。




「………ヒョン…」




声は掠れていた。


僕の不安を感じたのか、ユノは少しだけ首を傾げて、ふんわりと笑った。
でも、次の瞬間、


ツン。


唇が、触れた。
それは、ほんの一瞬の出来事。

ユノは僕の顔をまじまじ見ると、笑いをこらえるようにはにかんだ。
よほど僕の顔が可笑しかったのだろう。


チロり。


唇を、舐められた。
金縛りにあったように動けない。

ユノはいつの間にか、知らない男の人のような顔をして、僕を見下ろしていた。
僕はどんな顔をしているのだろう。


しと。


唇が、長く重なった。
ユノはゆっくり瞼を閉じる。
同時に手が、僕の心臓の上に置かれた。

僕の気持ちが全部、暴かれてしまう…


漠然とした不安をよそに
ユノは、唇で、舌で、感触を楽しむように、啄む。

…はぁ、

何度も。
啄む。

…ん、…

何度も。

はぁ…。


ユノの息づかいが、あまりに煽情的で、
全身の血が沸騰しそうだった。




唇が、離れる。
ユノの瞼がゆっくり上がった。

そして心臓の上にあった手を離すと、
親指で唇をぬぐう。

濡れていた。


「……しちゃった」


現状に似つかわしくない、まるで悪戯が成功した子供のような無邪気さ。


僕の上から退くと、立ち上がってバスタオルを拾い、肩にかけた。
自室に戻ろうと僕に背を向けるが、思い出したように振り返る。


先ほどの笑みはない。
甘さもない。
何の表情も読み取れない。


「…チャンミンが正解だと思うよ。……俺のは不正解」


まるで謎かけのような台詞。
けれど、一気に体の熱が引いていくのがわかった。


ユノの視界から、僕が消える。


  バタン。


僕は、目を閉じることもせず、全部を見ていた。









再び訪れた静寂。
僕はゆっくり体を起こすと、思わず唇に触れる。

微かに手が、震えていた。

喜びじゃない。
感動でもない。
今、唇から僕の全身に広がってゆくのは、悲しみだ。


ユノが消えたドアに目を戻す。


“僕が正解”とは   ユノの問いに頷かなかったこと。
“ユノが不正解”とは   キスをしたこと。


僕のぐるぐるした頭の中も、気の迷いも、全部お見通しだったのだろう。
その上で、気持ちは行動に出すなとクギを刺したのだ。

あのキスは、僕への『戒め』。
きっと、それだけの理由でしかない。

分かっている。
僕らが守るべきものの、重さを。
ユノも僕と同じで、それと気持ちとを天秤にかけた。
その答えなのだ。


僕らには、求めてはいけないものがある。
此処にいるかぎり、手に入らないものもある。






視界がぼやける。

だから僕は、慌てて上を向いた。





ユノとの初めてのキスは、甘くて切なかった。







end..




↓ランキング参加中です。よろしければポチっと。励みになります!!


にほんブログ村

DOGEZAいたします・・・!
スポンサーサイト
コメント

ま、ま、待ってましたあ!(゜ロ゜)

あードキドキした♪(/ω\*)

すみません | 2013.07.18(Thu) 13:00:37 | URL | EDIT

ありがとうございます。

チャミ様のごとくドキドキしていただけてよかったです(笑)

YUKA | 2013.07.19(Fri) 00:05:28 | URL | EDIT
コメントを投稿する
 
 
 
 
 
 
 
 
トラックバック

プロフィール

YUKA

Author:YUKA
ある日突然、ユノに恋をしました。
気付けば、チャンミンに構って欲しいユノと、ユノの側にいてくれるチャンミンの図に、萌えまくっていました。腐り具合は、きっとこれから進行してゆくのでしょう。

東方神起ありがとう!

「東方神起 RISE AS GOD」
「東方神起 LIVE TOUR 2015 WITH」




素敵な画像をお借りしました。
ありがとうございます。