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【七夕とお星さま】








「ただいま~」

返事はない。

「…ヒョン?」

やっぱり返事はない。


この図、このあいだもあった気がする…
けれど違うのは、玄関に靴があること。

僕はドアの鍵を閉めてから、靴を脱いでキレイに揃えた。
ついでにユノの靴も揃えておく。



リビングに続くドアを開けると、大きくカーテンが揺れていた。
そのカーテンの隙間から、チラチラと後ろ姿が見える。




   いた。




「ユノヒョン、帰りました」

声をかけると勢いよくユノが振り向いた。

「お~!チャンミナ~お帰り!」

と同時にユノはめいっぱい両手を広げる。
嬉々とした顔をして。




……いやいや、ヒョン。
その腕の中にぎゅっとおさまれと?

無理でしょ。




僕の冷めた目に気付いているはずだが、手はひっこめない。

1秒…2秒…3秒…………10秒……

やっぱりユノは、手を広げたままだった。
僕の表情に諦めを悟ったのか、勝ち誇ったように、ふふんと笑う。




はいはい、負けました。

僕はベランダに出て、ユノの懐におさまる。
まだ少し冷たい風にユノの体温が気持ちよかった。
でもって、ちょうど良い位置にあるから、ユノの肩に顎を乗せる。

男を抱きしめて何が楽しいんだか…
そう思うんだけれど、正直、嫌じゃない自分もいる。




そのとき、クスクス笑いが耳元で聞こえた。


…これ。
これが嫌なんだ。
ユノには僕の考えていることが手に取るようにわかるらしい。


「チャンミンてば、可…」
「黙ってください」


僕だってユノが言いそうなことくらいわかる。
だから早々に言葉をかぶせて全部は言わせない。

ユノが声を上げて笑った。
楽しそうだ。


「チャンミン、きょ…」
「知ってます。七夕です」


やっぱり、ユノは笑った。
正解だったみたいだ。


「…でも、曇ってるねぇ」


頷く。
空にはたった一個の星も見えない。
暗い暗い空と、寝静まった街が広がっているだけだった。


「思うんだけどさ、天上の二人は、下界の者共に見えないことこれ幸いと、イケな…」
「してません」


ピシャリと否定する。
…まったく、何を言い出すのかと呆れてしまう。
たまに歪んだ見方をするのだ。





そのとき、僕に回されていた腕に力が込められた。
同時に耳に触れるモノにも気付く。

これは…唇だ。


「ねぇ、チャンミン」


吐息がかかる。
くすぐったくて肩をすくめた。
 



「…僕らも、イケナイことする?」




ひどく甘い声。
じん、と響いてくる。

いつもの優しい声も好きだけど、色んなモノがダダ漏れている、こんな声も好きかもしれない。


「あれ、チャンミン。今度のは、わからなかった?」


また耳に吐息がかかる。

言葉をさえぎらなかった僕をからかうのがよほど楽しいのか、
声にいやに楽し気な響きが混じっていた。

ここで照れようものなら、さらにからかわれるのは目に見えている。
だから顔が見えないのをいいことに、声だけは強気に出る。



「…言わせてあげただけです」

「そうなんだ?」

「そうです」

「チャンミン、可…」

「それはもういいです」

「チャンミン、す…………」

「………」

「…遮らないの?」

「……言わせてあげようと思っただけです」

「ふぅん?」

「何ですか」

「べっつにぃ~」



ユノが笑った。

甘ったるい雰囲気から、いつもの僕らに戻っていた。



僕はチラリと腕時計に目を落とす。
明日も仕事だ。そろそろユノを寝かさなければならない。







「…ヒョン、そろそろ寝ないと」

「うん、そうだな。おやすみ、チャンミン」

ユノは僕に回していた腕を解いた。
しかし、本人に動く意思は見られない。


…だと思った。
僕はこっそり溜息をつく。


たぶん星が見たいのだ。
明日の天気予報は晴れだったから、待っていれば雲が途切れて星が見えるとでも期待しているのだろう。

別に七夕に星を見なくてもいいと思うんだけれど。
ユノには何か思うところがあるのかもしれない。


「仕方ないですね、まったく」


僕はユノから離れて、置きっぱなしにしていたカバンを取りにいく。

カバンを持って戻ると、ユノは最初と同じ、部屋に背を向けて空を眺めていた。

帰り際に買ってきたものを取りだす。

そしてまた、ベランダに出た。





「ヒョン」

声をかけるとユノが振り向いた。

「あれ、チャンミン?」

寝るんじゃなかったの?そういう顔をしているユノの前に、星型をしたプラスチックのステッカーを見せる。
ユノは僕の顔とステッカーを交互に見た。



「部屋に貼ってあげますから、今日はもう寝ましょう?」



くりくりの瞳が一瞬大きくなる。


おもむろに手が伸びてきた。
ユノは僕の手にある星をとって大切そうに両手で抱えると、しばらく見つめる。

それから、目を閉じると、そっとそれに口づけた。




まるで星に願いを吹き込んでいるかのようだった。









「…ありがと、チャンミン」


そう言ったユノが僕に向けたのは、笑いたいのか泣きたいのか、でも幸せそうな顔。

僕まで幸せな気分で満たされる。



だから、もっと笑ってほしくて、らしくないことをしてしまうときがある。






今度は、僕が両手をめいっぱい広げた。



















「…それ、光る?」
「もちろんです」




「天井にも貼ってくれる?」
「…もちろんです」




「チャンミンと一緒に寝る?」
「……もちろんです」




部屋のドアを閉めながら、天上の二人は、やっぱりイケないことをしているんじゃないか、なんて思ってしまった。



end..

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プロフィール

YUKA

Author:YUKA
ある日突然、ユノに恋をしました。
気付けば、チャンミンに構って欲しいユノと、ユノの側にいてくれるチャンミンの図に、萌えまくっていました。腐り具合は、きっとこれから進行してゆくのでしょう。

東方神起ありがとう!

「東方神起 RISE AS GOD」
「東方神起 LIVE TOUR 2015 WITH」




素敵な画像をお借りしました。
ありがとうございます。
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